ペンシルベニア州フィラデルフィアにある「ベッツィー・ロス・ハウス」は、初代アメリカ国旗を縫ったとされる女性、ベッツィー・ロス(エリザベス・グリスコム・ロス)ゆかりの歴史的住宅博物館です。しかし、「彼女が最初の旗を縫った」という有名な逸話には、実は確かな歴史的証拠が存在しないことをご存じでしょうか。
「最初の旗」伝説の真実
ベッツィー・ロスが1776年にジョージ・ワシントンの依頼を受けて最初の星条旗を縫い上げたという物語は、19世紀後半に広められ、瞬く間に人気を博しました。しかし、この話を裏付ける当時の公式記録や文書は確認されておらず、現在では歴史学者の間で伝説として扱われています。
とはいえ、ベッツィー・ロスがフィラデルフィアで旗や軍用品を作る仕立て職人として実際に働いていたこと自体は事実であり、彼女はアメリカ独立の歴史において重要な役割を果たした人物です。
ベッツィー・ロス・ハウスの建設と歴史
ベッツィー・ロス・ハウスは1740年代に建てられたクエーカー様式の家屋で、建築者の詳細な記録は残っていません。ベッツィーは1773年頃、最初の夫であるジョン・ロスとともにこの家に住み始めました。なお、しばしば混同されますが、ジョン・ロスはベッツィーの父親ではなく夫です。夫妻はここで家具職人として暮らしていましたが、1776年にジョンが亡くなった後も、ベッツィーはこの家で旗作りの仕事を続けたと伝えられています。
今日の人気観光スポットとして
現在、ベッツィー・ロス・ハウスは一般公開されており、当時の家具や調度品が再現された室内を見学することができます。フィラデルフィアのオールド・シティ地区に位置し、インディペンデンス・ホールなど他の歴史的建造物にも近いため、年間を通じて多くの観光客が訪れる人気スポットとなっています。
伝説の真偽はともかく、建国期アメリカの暮らしや文化に触れられる貴重な場所として、今なお多くの人々に愛され続けています。