歴史上の人物

トラヤヌス記念柱の頂に聖ペテロ像が置かれたのはいつ?その歴史を解説

ローマのトラヤヌス記念柱(コロッナ・ディ・トラヤーノ)は、紀元113年に完成した古代ローマの記念碑で、ダキア戦争での勝利を称えるために建てられました。柱の頂上には、当初、皇帝トラヤヌス自身の鍍金ブロンズ像が据えられていました。

中世に失われたトラヤヌス帝の像

トラヤヌス帝の像は、中世の間に何らかの事情で失われたと考えられています。正確な消失時期や経緯は定かではありませんが、中世後期にはすでに柱の頂上が空になっていたとされています。

1587年、聖ペテロ像への置き換え

現在、トラヤヌス記念柱の頂上に立っているのは、使徒ペテロ(聖ペテロ)のブロンズ像です。この像は1587年12月4日、教皇シクストゥス5世によって設置されました。当時のローマ教皇たちは、古代の記念碑をキリスト教的な文脈で再解釈する方針を進めており、この像の設置もその一環でした。

サン・ピエトロ大聖堂の聖ペテロ像との混同に注意

なお、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂の内部にも、有名な聖ペテロのブロンズ像があります。こちらは13世紀の彫刻家アルノルフォ・ディ・カンビオの作とされるもので、長年にわたる崇拝者たちの接触により足の部分が摩耗していることで知られています。記念柱の頂上の像とはまったく別の作品であるため、両者を混同しないよう注意が必要です。

まとめ

トラヤヌス記念柱の頂上の像は、もともと皇帝トラヤヌスの像でしたが、中世に失われ、1587年に教皇シクストゥス5世によって聖ペテロのブロンズ像へと置き換えられました。今日でもその姿はローマの空にそびえ立ち、古代とキリスト教の歴史が交差する象徴となっています。