歴史上の人物

ジャック・マスー ― パリ解放からアルジェリア戦争まで、功罪を刻んだフランス将軍の生涯

ジャック・マスー(Jacques Massu、1908年〜2002年)は、20世紀フランスが関わった主要な戦争のほぼすべてに従軍したフランス陸軍の将軍である。第二次世界大戦での華々しい戦功によって名を上げた一方、アルジェリア戦争における拷問への関与を認めたことで、その評価は栄光と汚点が入り混じる複雑なものとなっている。

生い立ちと軍人への道

マスーは1908年、フランス北東部のシャロン=シュル=マルヌで軍人の家庭に生まれた。父は砲兵将校であり、彼自身も父の歩んだ道を継いで軍人を志した。陸軍士官学校サン・シールに入学し、1930年に少尉として卒業すると、植民地歩兵部隊を希望した。1932年には中尉へ昇進している。

第二次世界大戦からアルジェリア戦争へ

第二次世界大戦中は各地の戦闘で頭角を現し、1944年8月のパリ解放作戦に参加した。終戦後もインドシナ戦争、1956年のスエズ動乱、そしてアルジェリア戦争へと、フランスが関わる紛争に次々と身を投じていく。とりわけアルジェリア戦争では空挺部隊の指揮官として辣腕を振るい、1958年には師団将軍(少将相当)の星章を授けられた。

1966年には在独フランス軍総司令官に任命され、軍人としてのキャリアの頂点に立った。

拷問への関与という負の遺産

しかし輝かしい戦歴の裏で、マスーはアルジェリア戦争中、部下による拷問を許可し、自らもこれに関与したとして激しく非難されてきた。とりわけ元活動家ルイゼット・イギラリーズ(Louisette Ighilariz)による告発は広く知られている。特筆すべきは、マスー自身がこれらの告発を否定しなかった点である。彼は晩年の証言において、拷問が実際に行われていたことを認めつつ、それを誇りに思うことはないと語ったとされる。

この問題は現在に至るまで、フランスとアルジェリアの歴史認識をめぐる論争の核心テーマの一つであり続けている。

晩年

1969年に退役したマスーは、ロワール川沿いの町コンフラン=シュル=ランに隠棲し、回想録の執筆に専念した。2002年、94歳でその生涯を閉じた。

ジャック・マスー ― パリ解放からアルジェリア戦争まで、功罪を刻んだフランス将軍の生涯

基本情報

生誕:1908年
死去:2002年(享年94歳)
職業:軍人(フランス陸軍将軍)