本記事では、19世紀アメリカ史をテーマにした演習問題を4問取り上げます。領土拡大、米墨戦争、奴隷制をめぐる南北対立など、試験対策に役立つ内容を、丁寧な解説とともに確認していきましょう。
問題
問題1
(Fuvest-2001)1820年から1850年にかけて、アメリカ合衆国は新たな地域を編入し、大西洋から太平洋にまで及ぶ現在の国土の形が確定しました。この領土拡大は、根本的には何によるものだったでしょうか。
a)大量のヨーロッパ移民の到来に伴う、西への自然な進出
b)伝統的に白人側と同盟関係にあったスー族やアパッチ族の首長たちとの協定
c)メキシコとの戦争での勝利。敗れたメキシコは国土の半分近くを割譲させられた
d)アメリカの西進に対して現実的な姿勢を示したイギリスおよびロシアからの領土購入
e)当時ヨーロッパで深刻な経済危機に直面していたフランスおよびスペインからの領土購入
問題2
(Fuvest-2009)「分裂した家は決して立ち行かない。半分が奴隷制で、半分が自由であるこの政府が、永遠に続くとは私には思えない。連邦が解体すると考えているわけではないし、家が倒れるとも思っていない。しかし、分裂状態が終わることを望んでいる。国家はいずれ、どちらか一方だけのものになるだろう」——エイブラハム・リンカーン、1858年
この文章が表現しているのは、次のうちどれでしょう。
a)リンカーン大統領の権威主義的な政治姿勢
b)南部議員たちの視点
c)奴隷制廃止を掲げるリンカーンの提案
d)西進拡大を阻止しようとする北部の主張
e)内戦(南北戦争)の可能性に対するリンカーンの懸念
問題3
19世紀のアメリカ合衆国による領土拡大の過程、とりわけ先住民族諸国への繰り返される攻撃や1846年から1848年にかけての米墨戦争は、合衆国によってイデオロギー的に正当化されました。それは何に基づくものだったでしょうか。
a)モンロー主義
b)ビッグ・ステック外交(棍棒政策)
c)マッカーシズム
d)マニフェスト・デスティニー(明白な天命)
e)マーシャル・プラン
問題4
米墨戦争は、メキシコとアメリカ合衆国の間で1846年から1848年にかけて戦われ、太平洋へ通じる広大な領土と豊かな金鉱地帯を合衆国にもたらしました。この戦争の発端となった出来事は、次のうちどれでしょう。
a)ルイジアナ買収
b)テキサス革命
c)ホームステッド法(自由土地法)の成立
d)インディアン移住法の署名
e)フロリダ買収
解答と解説
問題1の解答:C
この時期、アメリカ合衆国はテキサス地方への入植と植民を本格化させました。やがてアメリカ人入植者たちが革命を起こし、テキサスはメキシコから分離して合衆国へ併合されます。こうしたテキサスをめぐる対立がこじれ、1846年から1848年にかけて「米墨戦争」と呼ばれる紛争が勃発しました。合衆国の勝利により、カリフォルニアなどを含む広大な新領土が手に入りました。
問題2の解答:E
エイブラハム・リンカーン(1861年〜1865年在任のアメリカ大統領)のこの言葉は、西部の新領土における奴隷労働の維持・拡大、あるいはその廃止をめぐって、北部と南部の間に深く横たわっていた緊張を浮き彫りにしています。こうした対立は、すでにカンザス地方で両陣営の民兵による小規模な武力衝突(いわゆる「血を流すカンザス」)を引き起こしており、この時期には南部の分離独立を求める声が一層強まっていました。そして1861年、南部諸州の連邦脱退宣言が南北戦争の幕開けとなったのです。
問題3の解答:D
19世紀にアメリカ合衆国が推し進めた領土拡大、そして先住民族やメキシコに対して行われた数々の横暴は、「マニフェスト・デスティニー(明白な天命)」というイデオロギーによって正当化されました。1845年に登場したこの思想は、アメリカ人は西方の大地を占領し征服するよう運命づけられた特別な民であると主張するものでした。行われたあらゆる強権的な行為は、「文明化の使命」という言説のもとで正当化されたのです。
問題4の解答:B
テキサス革命は1836年に起こりました。メキシコ政府に不満を抱いたアメリカ人入植者たちが反乱を起こし、メキシコからの分離独立を宣言したのです。この反乱に対してメキシコ政府が軍事介入し、戦争が発生しましたが、最終的にはアメリカ人勢力が勝利しました。その後、テキサスは合衆国の領土として併合され、メキシコとアメリカの間には深刻な緊張が走ります。この緊張が他の要因と重なり、1846年の米墨戦争開戦へとつながっていきました。