サッチャー政権下での福祉制度改革
マーガレット・サッチャーは1979年から1990年までイギリスの首相を務め、在任中に福祉制度に大きな影響を与える数々の政策を実施しました。その中でも特に重要なのが、福祉給付金への資産調査(ミーンズテスト)の導入です。
資産調査(ミーンズテスト)とは何か
資産調査とは、個人の収入や資産に基づいて福祉給付金の受給資格を判定する仕組みです。この制度では、一定の収入・資産基準を満たす人だけが給付金を受け取ることができます。これは、収入や資産の多寡にかかわらず誰もが受け取れる「ユニバーサル(普遍的)給付」とは対照的な仕組みです。
導入前の状況:ユニバーサル給付の時代
資産調査が導入される以前、イギリスの多くの福祉給付金はユニバーサルなものでした。つまり、収入や資産に関係なく、すべての人が給付金を受け取れる仕組みでした。しかし、実際には経済的支援を必要としない人にも給付金が支払われることになり、一部からは「資源の無駄遣いだ」と批判されていました。
資産調査導入の目的
資産調査は、福祉給付金を最も必要としている人々に集中的に届けることを目的として導入されました。一定の収入・資産基準を満たす人にのみ給付を行うことで、政府は財政支出を抑えながら、本当に困窮している人々へ確実に支援を届けられるようになったのです。
資産調査への批判
一方で、資産調査には以下のような批判もあります。
- 制度の複雑さ: 資産調査をめぐる複雑な規則を理解し、手続きを進めることが難しいという指摘があります。
- 就労意欲への悪影響: 就職すると給付金額が減額される場合があり、働く意欲を削ぐ逆インセンティブとして機能しうるとされています。
現在のイギリス福祉制度における位置づけ
こうした批判があるにもかかわらず、資産調査は今なおイギリス福祉制度の中核を担っています。現在では大多数の福祉給付金が資産調査の対象となっており、政府は制度の効率性と有効性を高めるため、資産調査の規則について継続的に見直しを行っています。