「カウンティング・クー(counting coup)」とは、北米の平原部族(プレーンズ・インディアン)を中心に、一部のネイティブアメリカンの部族で行われていた伝統的な慣習です。戦士が敵に深刻な傷を負わせることなく接触することで、名誉と威信を獲得する行為を指します。
クーの最大の特徴は、敵を倒すことではなく、危険の中でいかに勇敢に行動できるかを示すことにあります。つまり、戦いの中で自らの勇気・技術・機敏さを証明するための儀式的な行為だったのです。
カウンティング・クーの7つのポイント
1. 傷つけずに触れること
クーの主な目的は、「クースティック」と呼ばれる専用の棒などの道具で敵の戦士に触れることであり、重傷を与えることではありません。ダメージを与えるよりも、接触すること自体に重点が置かれていました。
2. 名誉と社会的地位の獲得
クーは、戦士が部族内で認められ、尊敬と高い社会的地位を得るための重要な手段でした。クーに成功した戦士は、その勇気と戦闘技術によって高く評価されました。
3. 勇敢さの象徴
敵に触れるという行為は、恐れず危険に立ち向かえる胆力の象徴でした。自分の命を危険にさらしながらも、部族の名誉のために立ち向かう覚悟を示す行為だったのです。
4. 定められた戦闘の作法
クーは無秩序な行為ではなく、特定の規則や慣習に従って行われるものでした。多くの場合、戦士は戦闘に臨む前に、クーを試みる意思を宣言していました。
5. 専用の道具「クースティック」
戦士は通常、装飾を施した専用の棒「クースティック」を携帯していました。この棒で敵に触れることができれば、それが「成功したクー」と見なされました。
6. タイミングと多彩な手法
クーは戦闘や襲撃、その他の敵対的な場面で行われることがありました。戦士は隠密行動、素早さ、あるいは狡猾な策略などを駆使し、自分が傷つかずに敵へ触れられる距離まで迫ろうとしたのです。
7. 栄誉ある報酬
クーに成功した戦士は、特別な装飾品や表彰式典への招待、さらに鷲の羽根を身につける権利など、威信を示す栄誉を授かることがありました。
部族による違いにも注意
なお、クーの実践方法や文化的な解釈は部族によって異なっていた点にも留意が必要です。平原インディアンの文化において非常に重要な要素でしたが、すべてのネイティブアメリカンの部族に共通して見られた習慣ではありませんでした。