史上最大の空挺作戦、華々しい始まりと悲惨な結末
ナチス・ドイツに対する連合軍の最も痛ましい敗北の一つとして歴史に刻まれたアーネムの戦い。本書は、史上最大の空挺作戦の全貌をスリリングに描き出す。
1944年9月17日――空から現れた連合軍
1944年9月17日、航空機エンジンの轟音が、第三帝国空挺部隊の創設者クルト・シュトゥデント大将の思索を断ち切った。空には、連合軍の空挺師団を運ぶ輸送機ダコタとグライダーがひしめいている。オランダの自宅アパートのバルコニーから、将軍は歴史上最大の空挺兵力の実演を、羨望の眼差しで見つめていた。
マーケットガーデン作戦は大胆不敵な構想だった。勇躍する空からの打撃によって戦争を終わらせる――ライン川下流に架かる橋々を奪取すれば、連合軍に第三帝国の心臓部へと通じる道が開かれるはずだった。
しかし誰も予想だにしなかったのは、この作戦が連合軍にとって痛恨の敗北となり、ヒトラー最後の攻勢「アルデンヌ攻勢(バルジの戦い)」への序章となることだった。

ポーランド空挺旅団の勇戦と、モントゴメリーの非難
しかしアーネムはまた、ポーランド第1独立パラシュート旅団の兵士たちが綴った栄光の一ページでもある。占領された祖国の解放を目指して訓練を重ねてきた彼らは、旅団長スタニスワフ・ソサボフスキ将軍の反対を押し切る形で、アーネム上空へと投入された。降下後の絶望的な状況の中でも、彼らは並外れた勇気と決意を示し、イギリス軍を壊滅的な敗走から救った。ところがモントゴメリー元帥は、ポーランド軍を臆病だと非難し、作戦失敗の責任を彼らに押しつけたのである。
ビーヴァーが描く「運命づけられた戦い」
アントニー・ビーヴァーは本書で、そもそも成功の見込みが薄かったアーネムの戦いのドラマを雄弁に語る。オランダ、イギリス、アメリカ、ポーランド、ドイツ各国の公文書館から、新たに発見された資料と忘れ去られた史料を掘り起こし、この壮大な激突の凄惨な現実を丹念に再構築した。だが『アーネム』は単なる一つの戦闘の記録にとどまらない。独特で魅力的な叙述スタイルによって、読者を戦争の核心へと誘う作品なのである。
ポーランド空挺部隊のマーケットガーデン作戦への参加については、アントニー・ビーヴァー著『アーネム』(ポーランド語版はZnak Horyzontより2018年刊、日本語版『アーネム 1944』白水社)で詳しく読むことができる。