歴史物語

マイケル・ハワード著『第一次世界大戦』――確かな内容だが、やや古びた入門書

第一次世界大戦に関する新しい本が、これほど多く一年のうちに出版されたことはかつてなかった。2014年は、あの破壊的な欧州大戦が勃発してちょうど100年にあたる年だった。アムステルダム大学出版局もまた、「簡潔で読みやすい第一次世界大戦史入門」とうたう入門書シリーズ「エレメンターレ・デールトヘス(Elementaire Deeltjes)」の一冊として本書を刊行した。原書は、イギリスの歴史家マイケル・ハワードが2007年に執筆し、その後引退した「Very Short Introduction」シリーズの一冊の翻訳である。

軍事史家ならではの視点

本書は、第一次世界大戦の開戦から経過、終結までを俯瞰する概説書となっている。ハワードは生粋の軍事史家であり、数々の会戦、膠着した塹壕線、交戦国それぞれの戦略的思惑について深く掘り下げている。その一方で、大戦の社会的・文化的・政治的側面にはあまり踏み込まない。わずか150ページの紙幅では、どうしても取捨選択が必要になるからだろう。

ハワードは1914年のヨーロッパから語りを始める。1870年以降、列強間のパワーバランスを崩すことになったドイツ統一国家の台頭、そしてドイツとオーストリア=ハンガリーの同盟対フランス・ロシア・イギリスの同盟という構図である。各国の政治状況にも言及が及ぶ。ただし、なぜ開戦に至ったのか、誰に責任があったのかについては多くを語らない。これは2014年当時、まさにホットな論争テーマだったのだが。

驚きは少なく、新知見もなし

続く章では、ドイツのフランス攻撃計画が数週間で頓挫し、両軍が4年間の消耗戦へと塹壕に潜ったこと、戦争が世界各地へ拡大したこと、東部戦線がロシアとオーストリア双方にとっていかに悲惨であったこと、そして1917年のアメリカ参戦を経て、1918年についに講和が実現したことが、ごく標準的な流れとして描かれる。構成自体は地味で退屈かもしれないが、ハワードの叙述は簡潔でありながら極めて確かだ。ただし、驚きに富む内容ではない。

しかし、2014年の記念イヤーにすでに第一次世界大戦関連書をいくつも読んできた読者にとって気がかりなのは、執筆後7年以上の新たな研究知見がまるで反映されていない点だろう。例えば、オーストラリアの歴史家クリストファー・クラークが近著『夢遊病者たち(Sleepwalkers)』で開戦の原因を掘り下げたような新知見は、もはや大戦に関する書物に欠かせないものになっているはずだ。

内容の古さは、最終ページの「さらなる読書案内」欄をも台無しにしている。ハワードが挙げる文献は2007年時点での最新の状況を反映したものだが、2014年の時点では時代遅れになっていたり、改訂されていたりする。いずれにせよ、近年の重要な研究が欠けているのは否めない。

あまり多くを読み込みたくない人、学術的なニュアンスを求めない人にとっては、本書は手頃で読み応えのある一冊となるだろう。とはいえ、アムステルダム大学出版局のような学術出版社なら、少なくとも最新の参考文献リストを付録として加えてほしかったところである。