歴史物語

皇帝ネロの妻ポッパエアが愛した香水──その正体は「パチョリ」

皇帝ネロの妻ポッパエアが愛した香水──その正体は「パチョリ」

映画に描かれたポッパエア。皇帝ネロの二番目の妻は、「パチョリ」の香りをこよなく愛していたと言われています。

皇帝ネロを虜にした絶世の美女

野心的で、悪名高い一方、類まれな魅力を持つ誘惑の名人だったポッパエア・サビナ。皇帝ネロの二人目の妻として最もよく知られる彼女は、香水に強い情熱を抱いていました。香水は単なる身だしなみのためのものではなく、心惹かれた相手(あるいは恋の敵)を意のままに落とし込むための、かけがえのない「武器」として活用されていたのです。

お気に入りの香りは「パチョリ」

そんなポッパエアが特別に好んだ香りこそ、パチョリ(パッチョリー)でした。この植物は何世紀にもわたってインドで親しまれてきたもので、その深く心地よい芳香だけでなく、媚薬としての効力があると信じられていたことでも知られています。誘惑の達人であるポッパエアにとって、これ以上ない相性の香りだったといえるでしょう。

オプロンティスの別荘から解き明かされた謎

ポッパエアの愛用した香水を特定する上で決定的な手がかりとなったのが、古代ローマ遺跡として名高い美しいオプロンティスの別荘(Villa di Oplontis)で発見された小瓶です。学者たちは瓶の中に残されていた痕跡を慎重に分析・鑑定し、そこに含まれる成分を突き止めることに成功しました。こうして、二千年の時を超えて、絶世の美女がまとう香りの秘密が現代によみがえったのです。