
ギリシャ・リュカイオン山で発見された青年の人骨
古代ギリシャでも人身御供は行われていたのか
歴史学の世界では、古代ギリシャにおいて人身御供が実際に行われていたのかどうかをめぐり、長年にわたって議論が続けられてきました。賛否両論が対立する中、近年の発見が、「定期的に生贄が捧げられていた」とする立場を支持する有力な材料となっています。
その舞台となったのは、ペロポネソス半島アルカディア地方に位置するリュカイオン山です。ここから、約3,000年前に生きていた10代の男性とみられる人骨が出土しました。驚くべきことに、その場所は主神ゼウスに捧げられた祭壇のすぐ近くだったのです。
ゼウス信仰の聖地として知られる山
リュカイオン山は「ゼウス・リュカイオス」と呼ばれるゼウス信仰の中心地として古くから知られ、山頂には灰が積み重なった祭祀用の祭壇が残っています。また神話では、この地の王リュカオンがゼウスに人肉を供した罪により狼へと変えられたという伝承が語られており、古代文献にも当地で人身御供が行われていた可能性を示唆する記述が見られます。
決定的な証拠ではないが、重要な一歩
もちろん、今回の発見だけで直ちに確定的な結論を導き出せるわけではありません。この人物が本当に儀式の犠牲者だったのか、あるいは別の事情で埋葬されたのかについては、今後の詳細な調査が待たれます。
それでもなお、この発見は「古代ギリシャといえども、この血なまぐしい習慣とは無縁ではなかった」と考える専門家たちにとって、議論を後押しする貴重な根拠の一つとなっています。