ローマのパリオリ地区
イタリアの首都ローマといえば、古代遺跡や歴史的な旧市街のイメージが強いものですが、市の北側には緑豊かな閑静なエリアが広がっています。それがパリオリ(Parioli)地区です。名前を詳しく知らない人でも、「ローマで最も裕福な高級住宅街の一つ」として耳にしたことがある方は多いでしょう。では、この地名はいったいどこから来たのでしょうか。
今は洗練された住宅街、かつては果樹園だった
現在のパリオリを歩けば、整然と並ぶエレガントな建物や木々の並ぶ静かな街路が目に映ります。そんな姿を見ていると少し意外に思えるかもしれませんが、実はこの一帯、かつては果樹園に覆われたのどかな田園地帯だったのです。
地名の由来は「ペラヨーリ」=梨の産地
確固たる証拠があるわけではありませんが、パリオリという地名は「ペラヨーリ(peraioli)」という言葉に由来すると言われています。これは、かつてモンティチェッロ(Monticello)、サン・ヴァレンティーノ、サン・フィリッポ(San Filippo)の3つの丘を覆っていた広大な梨の畑を指す言葉です。
さらに、丘の斜面には長い列をなすブドウ畑が広がり、そこから収穫されるブドウでワインが造られていました。つまり、今日の高級住宅街パリオリは、農民たちが梨やブドウを育てていた農業の土地だったのです。
田園の記憶をたどる散策を
都市化が進む以前の面影を思い浮かべながらパリオリの街を散策してみると、エレガントな景観の裏にある素朴な歴史が見えてきます。現在この地区は、各国大使館や高級レストランが集まるローマ屈指の邸宅街として知られ、近隣には緑豊かな公園やコンサートホールもあります。古き田園時代の記憶と現代の洗練さが共存するパリオリは、観光客だけでなくローマっ子にも愛される特別な場所なのです。