絵画に描かれたユリウス・カエサルの死
ローマ史を変えた運命の日
ユリウス・カエサルの死は、ローマ千年の歴史における最も重要な転換点の一つとされています。
当時のカエサルは終身独裁官として絶大な権力を握っていましたが、その一方で元老院議員の大多数から強い反感を買っていました。そして紀元前44年3月15日――いわゆる「3月のイードゥス(イドゥス)」、彼は元老院議事堂内で40か所以上もの刺し傷を受け、倒れました。
陰謀に加わった者の中には、カエサルが深く信頼し、愛していた養子(実子とする説もあります)ブルータスの名も連ねられていたことはあまりにも有名です。
次々と起こる不吉な前兆
古代ローマ人は非常に迷信深い民族であり、何気ない出来事にも神々からのメッセージや隠された兆候を読み取ろうとしました。そして皮肉なことに、カエサルの死はまさに数々の不気味な前兆によって予告されていたのです。
単なる偶然の重なりだったのかもしれませんが、暗殺の数日前から奇妙な出来事が相次ぎ、災厄を告げる予言や不吉な予知夢が悲劇の前夜を覆いつくしていました。要するに、カエサルの最期は「空気の中に漂っていた」のです。
占い師スプリンナの警告
最初にカエサルの心を乱したのは、占い師スプリンナでした。彼女は近づく危険を感じ取り、カエサルに忠告しようとしました。
「3月15日(イードゥス・マルティアエ)には十分気をつけるように!」
これが彼女が残した有名な言葉です。
妻カルプルニアの悪夢
二つ目の前兆は、妻カルプルニアが見た夢でした。彼女は夢の中で、夫が自宅の屋根の崩壊のもとで命を落とす光景を目撃したのです。
カエサル自身が見た幻
さらに驚くべきことに、カエサル本人もまた不穏な夢に悩まされました。それは空を飛びながら、最高神ユピテル(ジュピター)と手を握るという不気味な幻視であり、独裁官の眠りを妨げたのです。
それでもカエサルは元老院へ向かった
しかし、生涯にわたって勇敢さを貫いてきたカエサルを止めるには、これらの前兆だけでは不十分でした。
カルプルニアが涙ながらに「どうか元老院へ行かないで」と懇願しても、カエサルは彼女をなだめ、「そのような迷信を信じてはならない」と語ったといいます。
それが、二人にとって最後の会話となりました。