ルネサンスを代表する万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチ。その芸術と科学における偉業は広く知られていますが、私生活、とりわけ家族の出自については、今日なお多くが謎に包まれたままです。
「カテリーナ・ディ・メオ・リッピ」説とは
レオナルドの母親こそカテリーナ・ディ・メオ・リッピという人物だった——この説を有力視しているのが、英国の美術史家マーティン・ケンプ氏と研究者ジュゼッペ・パラッティ氏です。
もっとも、何世紀にもわたり、この天才の母の正体をめぐってはさまざまな仮説が語られてきました。確実に言えるのは、レオナルドが公証人ピエロ・ダ・ヴィンチと、若き女性「カテリーナ」との間に生まれた非嫡出子だったという点だけです。しかし、そのカテリーナの素性は、ケンプとパラッティの説がかなり妥当とみられるものの、絶対的な特定には至ったことがありません。
16歳で出産した貧しい境遇の少女
両氏の研究によれば、カテリーナ・ディ・メオ・リッピはごく貧しい社会的背景を持つ女性で、1452年、わずか16歳にして、後の大芸術家であり科学者となるレオナルドを出産したと考えられています。
中東出身の奴隷だったとする別の説
一方、あまり信憑性が高いとはされていないのが、「レオナルドの実母は中東出身の奴隷だった」という説です。当時のフィレンツェに異郷出身の奴隷が実際に存在していたことから生まれた仮説ですが、現時点では文献調査に基づくケンプ&パラッティ説のほうが有力視されています。
天才レオナルドの人生最大級のミステリーともいえる母親の正体。今後の新資料の発見が待たれるところです。