クッキーの起源には諸説ある
「人類史上初めて焼かれたクッキーとは、いったいどんなものだったのだろう?」——このシンプルな問いに、確固たる答えは実は存在しません。クッキーの誕生については、時代も場所も異なる複数の説が語り継がれています。
有力な一つが、7世紀頃のペルシャ(現在のイラン)で砂糖を使った焼き菓子が作られ始めたという説。もう一つは、10世紀頃の中国で似たような焼き菓子が生まれたというものです。当時の記録が乏しいため断定は難しく、世界各地で互いに影響し合うことなく、独立して似たようなお菓子が生まれていた可能性もあるのです。
13世紀のペルシャ料理書に残る最古級のレシピ
現存する最古級のクッキーレシピの一つは、13世紀のペルシャの料理本に見られます。小麦粉・砂糖・アーモンド・ローズウォーターを使って作られたこの焼き菓子は、今日イタリアで親しまれる定番菓子「ビスコッティ」の原型となったと考えられています。
14世紀イングランドのレシピとショートブレッドのルーツ
さらに14世紀には、イングランドの料理書に小麦粉・砂糖・卵・バターで作るクッキーのレシピが登場しました。これが、バターの風味豊かなイギリス伝統菓子「ショートブレッド」へと発展していったとされています。
「クッキー」という名前の由来
ちなみに英語の cookie は、オランダ語の koekje(小さなケーキ)が語源です。オランダからの移住者が、この言葉と焼き菓子の文化をアメリカに持ち込んだと言われています。また、パン職人がオーブンの温度を確かめるために少量の生地を焼いて試した「テスト焼き」こそが、小さな焼き菓子=クッキーの始まりだったという説も有名です。
今や世界中で楽しまれるクッキー
現代では、小麦粉・砂糖・卵・バターをベースに、チョコレート、ナッツ、ドライフルーツなどを加えた無数の種類のクッキーが、世界中で愛されています。形やデコレーションも自由自在で、国や地域ごとに個性豊かなバリエーションが生まれ続けています。
あなたのお気に入りのクッキーにも、きっと長い歴史の中で育まれてきた物語があります。次にクッキーを味わうときは、その背景にある悠久の歴史と、レシピを受け継いできた多くの人々の知恵に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。