1970年代前半は、社会や政治が大きく変動した激動の時代であり、その空気感は当時のファッションにも色濃く反映されていました。1960年代にルーツを持つヒッピームーブメントは70年代初頭においても強い影響力を保ち、天然素材の使用、ゆったりとしたシルエット、鮮やかな色彩といった要素がファッションの中心に据えられていました。
その一方で、「グラムロック」と呼ばれる新しい潮流も台頭しつつありました。グラムロックは、スパンコールやグリッター(ラメ)をふんだんに使い、厚底シューズを合わせるなど、華やかで派手なスタイルが大きな特徴です。ヒッピー由来のナチュラル志向と、グラムロックのゴージャスな世界観——この二つの流れが交錯することで、1971年から1975年にかけてのファッションは非常に個性豊かなものへと進化していきました。
1971年~1975年の主要なファッショントレンド
1. ワイドレッグパンツ(ベルボトム)
膝から裾に向かって大きく広がるフレア形状が特徴的なパンツです。コットンやポリエステルなどの軽量素材で作られることが多く、動きやすさとデザイン性を兼ね備えたアイテムとして、男女問わず愛用されました。
2. ベルスリーブ(釣鐘型の袖)
ブラウス、ワンピース、トップスなどに取り入れられた人気ディテールです。袖口に向かってふわりと広がるシルエットが印象的で、レースやフリルで装飾されることも多くありました。
3. マキシワンピース
足首まで届くほどの丈を持つ、流れるようなロングドレスです。シフォンやシルクなどの軽やかな素材が好まれ、女性らしさと自由な雰囲気を同時に演出できるアイテムとして定着しました。
4. プラットフォームシューズ(厚底靴)
1970年代初頭を代表するフットウェアです。コルクや木材を使用したものが多く、革やスエードで覆われたデザインも登場しました。高さもさまざまで、ファッションの主役級の存在として爆発的な人気を博しました。
5. アフロヘアとビッグヘア
アフロヘアは、男性・女性を問わず70年代初頭で大人気のヘアスタイルでした。髪を大きく丸みのあるフォルムに立ち上げるのが特徴です。また、ボリュームたっぷりのビッグヘアも流行し、ヘアローラーやコテ(カールアイロン)を使ってスタイリングされることが一般的でした。
トレンドを牽引したセレブたち
シェール(Cher)
スパンコールをあしらったゴージャスなガウン、厚底シューズ、ボリュームのあるヘアスタイルなど、グラムロックらしい華麗なスタイルで知られる歌姫です。彼女の大胆なファッションは多くの人々の憧れとなりました。
エルトン・ジョン(Elton John)
カラフルなスーツ、個性的な帽子、色鮮やかなサングラスがトレードマークのグラムロックスターです。誰も真似できない独創的な着こなしで、時代のファッションシーンを盛り上げました。
ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell)
フォークシンガー兼ソングライターとして活躍し、流れるようなマキシワンピースやベルスリーブのブラウスを取り入れたボヘミアンスタイルで知られています。ナチュラルで自由な彼女の装いは、ヒッピー系ファッションの象徴的存在でした。
デヴィッド・ボウイ(David Bowie)
ミュージシャン、俳優、そしてファッションアイコンとして、1970年代初頭のジェンダーレス(中性的)な潮流を後押しした人物です。スパンコールのジャンプスーツ、厚底シューズ、長く流れるようなヘアをあわせた、性別の境界を越えるスタイルは、後世のファッションにも計り知れない影響を与えました。
まとめ
1971年から1975年のファッションは、ヒッピー文化の名残とグラムロックの華やかさが融合した、表現力豊かな時代でした。ワイドパンツ、マキシワンピース、プラットフォームシューズといったアイテムは今でも現代ファッションに繰り返し取り入れられており、この時代のスタイルがいかに普遍的で魅力的であったかを物語っています。