歴史物語

アイダホ州記念銀貨(1890年)にジョージ・L・シャウプではなくジョージ・ワシントンが描かれる理由

「1890年のアイダホ州記念銀貨に、なぜジョージ・L・シャウプが刻まれているのか?」という疑問への答えは、実にシンプルです。ジョージ・L・シャウプはこの硬貨には登場しません。この硬貨の表面(オモテ面)に描かれているのは、初代アメリカ合衆国大統領であるジョージ・ワシントンです。

ジョージ・L・シャウプとはどんな人物?

ジョージ・L・シャウプ(George L. Shoup、1836年〜1904年)は、アイダホ準州の最後の知事であり、1890年7月3日のアイダホ州昇格(州制施行)に伴い初代州知事に就任した人物です。その後はアメリカ合衆国上院議員としても活躍しました。アイダホ州の歴史において非常に重要な人物であるため、「州を記念する硬貨に描かれていてもおかしくない」と感じるのは自然なことです。

では、なぜワシントンが採用されたのか?

19世紀末から20世紀初頭にかけて発行された多くの記念メダルやトークン(私鋳貨)では、特定の州や団体を記念するものであっても、表面には国家的象徴であるジョージ・ワシントンの肖像が採用されるのが一般的でした。ワシントンは「建国の父」として広く尊敬され、あらゆるアメリカの記念行事にふさわしい普遍的な存在とみなされていたためです。

「1890年」という日付が示すもの

硬貨に刻まれた1890年の日付は、アイダホが43番目の州として連邦に加盟した年を記念するものです。ただし留意すべき点として、アメリカ造幣局による公式の記念硬貨プログラムは、1892年の「コロンブス半ドル」から始まっています。したがって、1890年の日付を持つ「アイダホ記念硬貨」は、公式の記念硬貨ではなく、民間で発行されたメダルやトークンである可能性が高いといえます。

まとめ

1890年日付のアイダホ州記念銀貨にジョージ・L・シャウプの肖像がないのは、この硬貨が彼個人を顕彰するためのものではなく、州昇格という出来事そのものを記念するものであり、当時の慣例に従って表面にはジョージ・ワシントンが採用されたためです。シャウプの功績は、硬貨の上ではなく、アイダホ州の歴史そのものの中で今も記憶されています。