オルダス・ハクスリーのSF小説『すばらしい新世界(Brave New World)』(1932年)において、物語の主な舞台となる都市はロンドンです。
未来のロンドンの姿
作中のロンドンは、高度に発達したテクノロジーによって支えられた超先進的な社会として描かれています。市民は人工的な生殖技術と幼少期からの条件付けを通じて、生まれる前から役割と性格が決められ、幸せで満足した状態を保つように設計されています。
抑圧された個性と自由
この社会では、あらゆる形の個性や自由が抑制されています。感情を揺さぶる芸術や宗教、家族という概念は排除され、代わりに「ソーマ」と呼ばれる薬物や娯楽によって人々の不満が管理されています。ハクスリーはこの描写を通じて、技術による幸福の強制がもたらすディストピア(反ユートピア)を鋭く批判しました。
世界国家の一都市として
ロンドンは、世界を統一する「世界国家(World State)」の一部として位置づけられています。物語の時代設定は「フォード暦632年」、つまり西暦2540年頃であり、自動車王ヘンリー・フォードが神格化された社会となっています。小説の冒頭では、ロンドン中央孵化・条件付けセンターが紹介され、読者はこの異質な未来社会へと導かれます。