歴史物語

シェイクスピア『アントニーとクレオパトラ』の「Was this well done」の意味とは?

「Was this well done by your lady?」(あなたのご主人は、あのようにするのが良いことでしたでしょうか?)――この一節は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『アントニーとクレオパトラ』に登場する有名な台詞です。

台詞が語られる場面

この言葉を発するのはローマの将軍アントニーで、聞き手は彼に仕える従者エロス(Eros)です。クレオパトラの死の報せを受けた直後の場面で、アントニーは最愛の人を失った深い嘆きの中、彼女が自ら命を絶ったという決断が果たして正しいものであったのかを、エロスに問いかけています。

なお、本作の正式な題名は『アントニーとクレオパトラ(Antony and Cleopatra)』。古代ローマの英雄マルクス・アントニーとエジプト女王クレオパトラの壮麗な悲恋を描いた作品で、1606年から1607年頃に執筆されたと考えられています。

「Was this well done」の意味

直訳すると「これは上手く為されたのか?」となりますが、この文脈では「彼女にとって、それは正しい行いだったのだろうか?」という問いかけに相当します。

つまりアントニーは、クレオパトラが自害を選んだことを、称賛に値する勇気ある決断と捉えるべきか、それとも取り返しのつかない過ちであったのか、エロスの見解を求めているのです。深い愛情と喪失の悲しみが入り混じった、劇中でも特に感情の強い一節といえます。

まとめ

この台詞は、愛と死、そして名誉という本作の中心的なテーマを象徴する言葉として知られています。単なる事実確認の問いではなく、愛する人を失った者の葛藤そのものが表れた名場面として、多くの上演や研究で取り上げられてきました。