何が起きたのか
2012年9月11日、リビアのベンガジにある米国の外交施設とその近くに位置するCIA別館が、イスラム過激派によって攻撃されました。この襲撃では、J・クリストファー・スティーブンス駐リビア米国大使を含む4人の米国人が命を落としました。
攻撃は9月11日の夕方に始まりました。過激派は迫撃砲や小火器を用いて外交施設を襲撃し、数時間後にはCIA別館への攻撃も開始。最終的に過激派は敷地を制圧し、建物に放火しました。
近隣基地から派遣された米軍要員は攻撃を食い止めようとしましたが、外交施設には間に合わず到達できませんでした。その一方で、CIA別館からは数十人の米国人を救出することに成功しています。
攻撃の動機とは?
犯人グループが声明書を残さず、要求を明示しなかったため、ベンガジ攻撃の正確な動機については今なお定説がありません。ただし、専門家の間では以下のような複数の説が提唱されています。
- 反米感情: 一部の専門家は、リビア国内で高まっていた反米感情が攻撃の背景にあったと指摘します。2011年のカダフィ政権崩壊における米国の役割、アルカーイダ幹部アンワル・アウラキを殺害した米軍の無人機攻撃、そして中東における米国の継続的な関与などが、反米感情を助長した可能性があります。
- 政治的不安定: 攻撃当時、リビアは中央政府が弱体化し、複数の武装勢力が主導権を争う深刻な政治的混乱の中にありました。過激派はこの混沌とした状況に乗じて襲撃を実行したとみられています。
- ビンラディン殺害への報復: 2011年に米軍が実施したウサマ・ビンラディン殺害作戦への報復として攻撃が行われたという説もあります。
- 経済的利益: リビア政府やその他の組織から金銭をゆすり取る目的で、攻撃が利用された可能性を指摘する専門家もいます。
攻撃がもたらした影響
ベンガジ攻撃は、米国の外交政策のみならず、リビアの政治情勢にも大きな影響を及ぼしました。
- 米国内での影響: 攻撃を受け、オバマ政権は「対応が遅かった」「事件の真相を隠蔽した」として激しい批判にさらされました。この事件は米国内の政治対立を煽る要因となり、長期にわたる調査と論争が続きました。
- リビアでの影響: 攻撃によりリビアの情勢は一層不安定化し、安定した政府の樹立はいっそう困難になりました。国内における暴力事件や治安の悪化にも拍車がかかりました。
ベンガジ攻撃は今日でも米国政治において論争的なテーマであり続けています。「米国の弱さを示す出来事だった」とする見解がある一方、「中東における米国の関与が招いた避けられない帰結だった」とする見解もあり、評価は現在も分かれたままです。