歴史物語

古代エトルリア人のオリーブオイル活用術:薬にもなった万能の油

古代エトルリア人のオリーブオイル活用術:薬にもなった万能の油

オリーブの木と共に生きたエトルリア人。彼らにとってオリーブオイルは、貴重な「薬」でもありました。

紀元前8世紀頃からイタリア半島中部、現在のトスカーナ地方を中心に栄えたエトルリア人にとって、オリーブオイルは食卓や宗教儀礼で使うだけのものではありませんでした。彼らはこの万能の油を、日常のさまざまな場面で欠かせない実用品として活用していたのです。

質の落ちた油は照明に再利用

その代表的な用途が照明です。食用に適さない品質の低いオリーブオイルは決して捨てられることなく、公共の施設から各家庭まで、ランプの燃料として幅広く用いられました。油を灯りに使うという知恵は古代に始まり、石油ランプが登場する近代に至るまで、人類の歴史の中でほとんど途絶えることなく受け継がれていきます。

スキンケアや筋肉痛の緩和にも効果的

薬としてのオリーブオイルも見逃せません。肌になじませることで皮膚を柔らかく保ち、スポーツや軍事訓練などによる疲労で生じる筋肉痛を和らげるのに優れた効果を発揮したのです。マッサージオイルや保湿剤としての利用は、エトルリア人だけの特別な習慣ではなく、ギリシャやローマをはじめ、古代世界の多くの民族に共通する知恵でもありました。

食用、祭祀用、照明用、そして薬用――。エトルリア人がオリーブオイルを多面的に使いこなしていたことは、この油が古代地中海世界においていかに価値ある資源であったかを物語っています。