ロンドン大火とグラスゴーの塔――その関係は実在するのか?
「1666年のロンドン大火の際、ロンドンの富裕層がグラスゴー沖の塔に貴重品を保管していた」という話を耳にすることがあります。しかし、この説には歴史的な根拠がまったくありません。
グラスゴーはロンドンから遠く離れた都市
まず注目すべきは地理的な問題です。グラスゴーはスコットランドに位置する都市であり、イングランド南東部にあるロンドンからは数百キロメートルも離れています。17世紀の輸送手段を考えると、火災の脅威にさらされている最中に、わざわざそんな遠方まで家財を運ぶことは現実的ではありません。
歴史的な証拠は一切存在しない
さらに決定的なのは、ロンドン大火の際に富裕層がグラスゴー周辺の塔へ所持品を搬出したことを示す史料や記録が、一切確認されていないという点です。ロンドン大火は当時の記録や日誌(サミュエル・ピープスの日誌など)によって詳細に残されており、その中にもこうした逸話は登場しません。
まとめ
結論として、ロンドン大火の際にロンドンの富裕層がグラスゴー沖の塔に財産を保管していたという話は、事実無根の俗説であると言えます。