プロナタリスト・バイアスとは
プロナタリスト・バイアス(pro-natalist bias)とは、直訳すると「出産奨励バイアス」「出生優遇への偏り」といった意味を持つ概念です。これは、子どもの誕生を否定的にとらえる「反出生主義(アンチナタリズム)」の対義語にあたります。
この言葉には、大きく分けて次の2つの意味があります。
意味1:出産を高く評価する価値観の傾向
ひとつめは、考え方に関する意味です。経済的な事情、キャリアの選択、ライフスタイルの希望など、人が子どもを持たない理由はさまざまあります。しかし、そうした理由を十分に考慮せず、「子を産み育てること」のほうを無条件に高く評価してしまう傾向を指して、プロナタリスト・バイアスと呼びます。
意味2:親や子育て世帯を優遇する政策
ふたつめは、社会制度・政策に関する意味です。子どもを持たない人や成人した子を持つ家庭と比べて、親や子育て中の家庭を有利に扱う政策も、プロナタリスト・バイアスの一例とされます。代表的な例は以下のとおりです。
- 児童税額控除(チャイルド・タックス・クレジット):子どいる世帯に対して税負担を軽減する制度。
- 産休・育児休業などの家族関連休暇:出生率の向上や、失業率・男女間賃金格差の是正などを目的として設けられる休暇制度。
- 家族の規模に応じた住宅給付:世帯人数が多いほど手厚くなる住宅支援。
- 親の早期退職制度:子どもを持たない人と比べて、親がより若い年齢で退職できる仕組み。
少子化対策との関係
出生率の低下が課題となっている国では、こうした出産優遇的な政策が積極的に導入される傾向があります。日本においても、児童手当、育児休業給付、多子世帯向けの住宅支援などがその例といえます。一方で、子を持たない選択をする人々との公平性の観点から、こうした優遇措置が「バイアス」として議論の対象になることもあります。