アフリカの歴史

マーティン・ルーサー・キングがガンジーから学んだ「市民的不服従」の原則とは?

ガンジーの思想を受け継いだキングの闘い

マーティン・ルーサー・キング牧師をはじめとするアメリカ公民権運動の指導者たちは、インド独立運動の指導者マハトマ・ガンジーから重要な原則を学びました。それが「市民的不服従(シビル・ディオビディエンス)」です。

市民的不服従とは何か

市民的不服従とは、不正で悪質な制度や法律に対して、暴力に訴えることなく平和的に協力を拒否するという手法です。単なる抵抗ではなく、道徳的な良心に基づいて不当な法に従わないことを宣言し、その結果として生じる逮捕や処罰をも進んで受け入れる点に特徴があります。

この考え方は、ガンジーが南アフリカやインドでの運動の中で実践した「サティヤーグラハ(非暴力・真理の把握)」の哲学に由来します。キング牧師はこの思想に深く感銘を受け、自らの運動の中核に据えました。

アメリカ公民権運動への実践

キングら公民権運動の指導者たちは、市民的不服従を用いて、アメリカ合衆国における人種隔離(セグリゲーション)やその他あらゆる形態の差別と闘いました。具体的には、次のような行動が挙げられます。

  • モントゴメリー・バス・ボイコット(1955年):人種差別的なバス乗車規則への協力を拒否した長期にわたるボイコット運動
  • シットイン(座り込み):人種隔離された食堂などへの平和な座り込み抗議
  • デモ行進:セルマからモンゴメリーへの行進など、不当な法に抗議する平和的行進

これらの活動は、暴力ではなく良心に基づく不服従によって世論を動かし、1964年の公民権法や1965年の投票権法の成立へとつながっていきました。ガンジーの非暴力の精神は、海を越えてアメリカの社会変革を実現する力となったのです。