アジアの歴史

ベトナム戦争の交戦規則(ROE)とは?米軍の行動原則とその限界

ベトナム戦争における交戦規則(ROE)とは

ベトナム戦争中、アメリカ軍は「交戦規則(Rules of Engagement:ROE)」と呼ばれる一連のガイドラインに従って作戦行動を実施していました。この規則は、民間人の犠牲や付随的損害(コラテラルダメージ)を最小限に抑えながら、米軍が効果的に戦争を遂行できるよう設計されたものです。

交戦規則の主な内容

ベトナム戦争における主要な交戦規則には、以下のような項目が含まれていました。

  • 軍人は、自衛または他者を差し迫った危険から守るために必要な場合にのみ、武力を使用すること。
  • 民間人を尊重し、その財産を保護すること。
  • 女性や子どもを特に危害から守ること。
  • 過剰な武力の使用を禁止すること。
  • 指揮官は、民間人の犠牲や付随的損害を回避するため、あらゆる可能な措置を講じること。

具体的な規定の例

さらに具体的な交戦規則の例として、次のようなものが挙げられます。

  • 米軍は、先に攻撃を受けた場合を除き民間人に発砲してはならず、仮に応戦する場合でも、脅威を無力化するために必要な最低限の火力にとどめること。
  • 人口密集地域では砲撃などの重火器の使用が禁止され、小火器による射撃も絶対に必要な場合に限定されること。
  • 民間人の財産を破壊してはならず、自軍の使用に必要な物資のみを徴発できること。
  • 捕虜は人道的に扱うこととし、拷問やその他の虐待を行ってはならないこと。

規則の遵守状況と課題

しかしながら現実には、これらの交戦規則が常に遵守されたわけではありません。戦争中には民間人の犠牲者や付随的損害が数多く発生し、規則の徹底には大きな限界があることが明らかになりました。

それでもなお、こうした規則は、米軍が戦争法(国際人道法)および人権の原則に沿った形で行動するための重要な枠組みを提供していました。交戦規則は紛争の期間中に何度も改訂が重ねられ、最終的には1973年に新たな交戦規則へと置き換えられることとなりました。