アジアの歴史

『昨日の世界』はいつ書かれた?刊行年と執筆の背景をわかりやすく解説

『昨日の世界』とはどんな本か

『昨日の世界』(原題:Die Welt von Gestern)は、オーストリア出身の作家シュテファン・ツヴァイクが晩年に著した自伝的作品です。第一次世界大戦前のヨーロッパ、とりわけハプスブルク帝国時代のウィーンで育った著者が、失われてしまった「昨日の世界」——平和で文化的な旧ヨーロッパの姿を、回想録として描き出しています。

刊行は1942年、死後出版だった

本書が世に出たのは1942年のことです。ツヴァイクはナチス政権の台頭により故郷を追われ、亡命先のブラジルで本書を執筆しました。そして1942年2月、原稿を出版社に送り届けた直後にペトロポリスで自ら命を絶ちました。そのため、『昨日の世界』は著者の生前に刊行されることなく、死後出版として世に送り出されたのです。

執筆された時代背景

本書が書かれたのは、第二次世界大戦の最中でした。祖国オーストリアはナチス・ドイツに併合され、ユダヤ系であったツヴァイクは著作を発禁とされ、ヨーロッパを追われる身となっていました。かつての文明への深い愛着と、それが崩壊していく悲しみが、本書全体を貫くテーマとなっています。

今日まで読み継がれる理由

『昨日の世界』は単なる回顧録にとどまらず、戦間期ヨーロッパの知識人社会や文化の様子を伝える貴重な記録として高く評価されています。平和な日常がいかに脆く崩れ去りうるかを描いた本書は、現代においても多くの読者に読み継がれる名作となっています。