アイゼンハワー大統領はベトナム戦争を宣戦していない
「アイゼンハワー大統領がベトナム戦争を宣言した」というのは、よくある誤解です。歴史的事実として、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領がベトナム戦争を宣戦布告したことはありません。彼の政権期(1953年~1961年)には、アメリカはまだ本格的な軍事介入の段階には至っておらず、主に南ベトナムへの軍事顧問団の派遣や経済支援といった限定的な関与にとどまっていました。
ベトナム戦争の発端:1954年のディエンビエンフーの戦い
ベトナム戦争の起点とされるのは、1954年です。この年、第一次インドシナ戦争において、フランス軍がディエンビエンフーの戦いでホー・チ・ミン率いるベトミン軍に決定的な敗北を喫しました。この敗北により、フランスによるインドシナ支配は事実上終わりを迎え、同年のジュネーブ協定によってベトナムは北緯17度線を境に南北に分断されることになりました。
アメリカの関与が深まった1960年代
その後、冷戦構造の中で共産主義勢力の拡大を懸念したアメリカは、いわゆる「ドミノ理論」に基づき、南ベトナムへの支援を段階的に強化していきました。ケネディ政権下で軍事顧問の規模は拡大し、1960年代に入るとアメリカの関与はますます深まっていきました。
本格的なエスカレーションを宣言したのはジョンソン大統領
ベトナム戦争におけるアメリカの本格的な参戦を宣言したのは、リンドン・B・ジョンソン大統領です。1965年、ジョンソン政権は戦争の大幅なエスカレーションを決定し、北ベトナムへの爆撃作戦や地上部隊の派遣など、アメリカの直接的な軍事介入へと踏み出しました。こうしてベトナム戦争は、アメリカ社会全体を巻き込む大規模な紛争へと発展していったのです。