北米の歴史

1860年、州は合法的に連邦から離脱できたのか?

結論から言えば、できません。

テキサス対ホワイト事件(1869年)の判決

アメリカ合衆国最高裁判所は、1869年の「テキサス対ホワイト事件(Texas v. White)」において、州は連邦(ユニオン)から一方的に離脱することはできないと明確に判断しました。

判決の背景

この訴訟は、南北戦争中に南部連合へ加わったテキサス州が戦前に発行した債券をめぐる紛争が発端でした。連邦政府は、テキサス州が離脱していた期間は法的には州としての地位を失っていなかったと主張し、この問題を通じて離脱の合法性そのものが問われることになりました。

判決の核心

当時のチーフ・ジャスティス、サーモン・P・チェイスは、合衆国憲法の前文に謳われた「より完全な連合を形成する」という文言や、連邦の永続性に言及し、次のように述べました。

  • 連邦は憲法によって永続的かつ不可分のものである
  • 個々の州が一方的な意思で離脱する権利を持たないこと
  • 南北戦争中の南部諸州の離脱は法的に無効であったこと

判決の限界と例外

ただし、この判決には重要な留保もあります。チェイス長官は、革命による場合、あるいは他の州の同意を得た場合には、理論上は連邦からの分離もあり得ると指摘しています。つまり、合意なき一方的な離脱は違法である一方、全く不可能というわけではないというニュアンスが残されたのです。

現代への影響

この判決は今日まで有効であり、州が連邦から離脱する法的根拠は存在しないというのがアメリカの確立された法解釈です。1860年代の南北戦争期に実際に離脱を宣言した南部諸州の歴史的行為も、この判決によって法的には無効と位置づけられました。