結論:そのような子供は確認されていない
アメリカ建国の父の一人であるアレクサンダー・ハミルトンが、奴隷の女性との間に子供をもうけたことを示す歴史的記録や確かな証拠は存在しません。トマス・ジェファーソンとサリー・ヘミングスの関係のように後世まで語られる事例とは異なり、ハミルトンについてそのような関係を裏付ける文書や伝承は見つかっていません。
正妻エリザベスとの間に生まれた子供たち
ハミルトンは1780年12月に、ニューヨーク屈指の名門スカイラー家の令嬢エリザベス(愛称ベティ)・スカイラーと結婚しました。夫妻は生涯を通じて強い絆で結ばれ、長男フィリップをはじめとする8人の子供をもうけています。これらはすべて婚姻関係にある二人の間に生まれた嫡出子です。
マライア・レイノルズとの不倫関係について
ハミルトンの男女関係でよく話題になるのがマライア・レイノルズという女性ですが、彼女は奴隷ではなく、ジェームズ・レイノルズという男性の妻でした。1791年頃に始まったハミルトンとマライアの不倫は、後に夫から口止め料を要求される恐喝事件へと発展します。さらに1797年に政敵がこの一件を暴露すると、ハミルトンは自ら浮気を認める小冊子(いわゆる「レイノルズ・パンフレット」)を公表して財務疑惑を否定しました。つまり、この不倫関係自体は本人によって認められた史実ですが、そこから子供が生まれたという記録は一切ありません。
なぜこうした疑問が生まれるのか
建国の父たちの多くは奴隷制と無縁ではなく、私生活への関心が高まる中で、各人物の男女関係や子孫に関する議論が盛んに行われています。ハミルトン自身も奴隷貿易が盛んだったカリブ海の英領西インド諸島出身であり、ニューヨーク解放協会の設立にも関わるなど、奴隷制問題と接点を持つ人物でした。しかし、奴隷の女性との間に子供をもうけたとされる一次資料は、現在までに一切確認されていません。