北米の歴史

アメリカ独立戦争でイギリス軍と共に戦った傭兵「ヘシアン」とは?

アメリカ独立戦争(1775年〜1783年)において、イギリス軍のために戦った傭兵部隊は「ヘシアン(Hessians)」と呼ばれています。

ヘシアンの由来

「ヘシアン」という名称は、ドイツの領邦国家であるヘッセン=カッセル方伯領(Hesse-Kassel)に由来します。当時のドイツは大小さまざまな領邦国家に分かれており、中でもヘッセン地方は訓練された兵士の供給地としてヨーロッパ全土に知られていました。

イギリス政府は、アメリカ植民地の独立運動を鎮圧する際に自国の兵力だけでは不足していたため、ドイツ諸侯と契約を結び、およそ3万人の兵士を雇用したとされています。ヘシアン兵士は厳格な規律と優れた軍事訓練で知られ、イギリス軍全体の中でも大きな割合を占める存在でした。

独立戦争における活躍

ヘシアン部隊は、1776年のトレントンの戦いやサラトガの戦いなど、独立戦争の主要な戦闘に数多く参加しました。特にトレントンの戦いでは、ワシントン率いる大陸軍がクリスマスの夜にデラウェア川を渡り、ヘシアン部隊を奇襲して勝利を収めたことで有名です。

歴史的な意義

外国の傭兵を雇って植民地の人々と戦わせるというイギリスの方針は、当時のアメリカ人の反英感情を強く刺激しました。トマス・ペインの『アメリカの危機』などでも傭兵の存在が批判され、独立への機運を高める一因となったといわれています。

また、戦争終結後には一部のヘシアン兵士が故郷へ帰らずアメリカに定住することを選び、その子孫は今日のアメリカ社会にも受け継がれています。