北米の歴史

「アメリカ史におけるフロンティアの意義」を演説したのは誰?――フレデリック・ジャクソン・ターナーとフロンティア説

有名な講演を行ったのは歴史学者フレデリック・ジャクソン・ターナー

「アメリカ史におけるフロンティアの意義(The Significance of the Frontier in American History)」という講演を行ったのは、アメリカの歴史学者フレデリック・ジャクソン・ターナー(Frederick Jackson Turner)です。

この講演は1893年、シカゴで開催されたアメリカ歴史学会(American Historical Association)の会合において発表されました。当時のシカゴではコロンブスによる新大陸発見400周年を記念した「シカゴ万国博覧会」が開かれており、学会もその一環として同地で行われたのです。

ターンの提唱した「フロンティア説」とは

ターンはこの講演の中で、それまでの歴史学が重視してきたヨーロッパからの影響や東部都市の役割ではなく、西へと広がり続けた「フロンティア(開拓地の境界)」こそがアメリカの国民性と民主主義を形作ったのだと主張しました。

彼によれば、荒野を切り開く過程でヨーロッパ的な要素が次々と失われ、自力本願・実用主義・平等主義といった独特なアメリカ的精神性が育まれたというのです。さらに、1890年の国勢調査によって「自由な土地」の消滅が確認されたことを踏まえ、アメリカ史の第一の時代が終わりを迎えたとも指摘しました。

後世への影響

この講演は当初大きな反響を呼ばなかったものの、後に「フロンティア説(ターン説)」としてアメリカ史学に絶大な影響を与えることになりました。20世紀前半のアメリカ史研究の中心的な枠組みとなり、今日でもアメリカ人の自己認識や国家像を語るうえで欠かせない概念の一つとされています。