北米の歴史

米国の原油生産量、この20年で最小の伸びに? シェール革命後の成長減速を解説

米国の原油生産量、直近の伸びはどれくらい?

米国の原油生産量はここ数年、増加こそ続けているものの、そのペースは大きく鈍化しています。2024年の平均生産量は日量約1,320万バレル前後と過去最高水準を維持した一方、前年からの増加幅はおよそ30万バレル程度にとどまりました。シェールオイル革命の真っ只中だった2010年代前半には、年間で100万バレルを超える生産増加が何度も記録されていたことを考えれば、現在の伸びがいかに小さいかがわかります。

シェール革命が生んだ「世界最大の産油国」

2000年代後半まで米国の原油生産量は長らく減少傾向にありました。ところが、シェール層から石油を採取する技術が実用化されると状況は一変します。テキサス州のパーミアン盆地やノースダコタ州のベーケン盆地などを中心に生産が急拡大し、2018年にはロシアとサウジアラビアを抜いて世界最大の原油生産国の座に就きました。

近年、生産増加が鈍っている理由

直近で生産の伸びが小さくなっている背景には、主に次のような要因があります。

・原油価格の低迷: 採算ライン近くでの価格推移が続き、新規開発への意欲が削がれています。
・資本規律の徹底: シェール企業は株主還元を優先し、積極的な掘削投資を控える姿勢を強めています。
・リグ(掘削装置)数の減少: 操業中のリグ数はピーク時より大幅に少なく、生産拡大の原動力が弱まっています。
・生産性の頭打ち: 有利な採掘区画の枯渇により、一口あたりの生産性向上も鈍化しつつあります。

「過去20年で最小の増加」は正しい表現か?

「この20年間で最小の増加」という表現については、データの見方に注意が必要です。実は過去20年には、生産量が減少した年も存在します。2016年は原油価格の暴落を受けて生産が縮小し、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大による需要崩壊で大幅な減産となりました。

したがって、「増加幅が最も小さかった年」という意味であれば、近年の伸びの小ささは歴史的に見ても際立っていると言えます。一方で、「20年間で最小の増加」と断定する場合は、比較対象となる期間や統計の種類(米エネルギー情報局:EIAの週次・月次データなど)によって結論が変わる可能性がある点には留意が必要です。

まとめ

米国の原油生産量は過去最高水準にあるものの、増加ペースはシェール革命期と比べて大幅に鈍化しており、当面は緩やかな成長が続くと見込まれます。「過去20年で最小の増加」という指摘は、減少年を除いた純増幅に着目すればおおむね妥当ですが、厳密な評価には統計の範囲や定義の確認が欠かせません。それでもなお、世界の原油供給における米国の存在感は圧倒的であり、今後の生産動向は国際原油価格やエネルギー市場全体に大きな影響を与え続けるでしょう。