北米に牛が最初にもたらされたのは、16世紀のことです。スペイン人の探検家や入植者たちが、1493年のコロンブス第二次航海以降、カリブ海地域へウシを連れてきたのが始まりとされています。その後、ヨーロッパからの入植が進むにつれ、牛はアメリカ各地へと広がっていきました。
スペイン人による牛の導入
スペインの探検家たちは、メキシコやフロリダ、テキサスといった、現在のアメリカ南西部にあたる地域へ牛を持ち込みました。特に有名なのがテキサス・ロングホーンで、これはスペイン原産の牛が野生化し、独自に発展した品種です。17世紀から18世紀にかけて、これらの牛はメキシコ北部からテキサス地方へと広がっていきました。
イギリス系入植者と牛の普及
一方、東海岸では、1607年に設立されたバージニア植民地のジェームズタウンへ、1611年にイギリスからの入植者が牛を持ち込んだという記録が残っています。ヨーロッパからの移民が増えるにつれ、牛はニューイングランドから南部へと、アメリカ東部一帯に普及していきました。
西部開拓と牛産業の発展
19世紀に入ると、西部開拓とともに牧畜業が本格化します。南北戦争後には、テキサスからカンザスの鉄道町へ牛の群れを追って移動する「ロングドライブ」が盛んになり、アメリカならではのカウボーイ文化が花開きました。こうして牛はアメリカ全土に広まり、今日の大規模な牛肉産業の基盤を築いたのです。