結論から言えば、現在のアメリカ合衆国においても、事実上の奴隷制度が存在していると言えます。その鍵を握るのが、1865年に批准された米国憲法修正第13条です。
憲法修正第13条に残された「例外」
米国憲法修正第13条は、奴隷制を廃止した歴史的な条文ですが、そこには「犯罪に対する刑罰としての場合を除く(except as a punishment for crime)」という例外規定が組み込まれています。
この例外条項の存在により、刑務所内での強制労働は違法とならず、受刑者がごくわずかな報酬、あるいは無償で働かされる事態が今日まで続いてきました。
10万人以上が従事する「刑務所産業」
推計によれば、アメリカでは10万人以上の受刑者が刑務所産業(プリズン・インダストリー)で働いており、その多くは時給1ドル未満しか支払われていないとされています。中には無償で労働を強いられるケースもあり、作業を拒否すれば懲罰的な処遇を受ける可能性さえあります。
「現代の奴隷制」と呼ばれる理由
こうした実態から、この制度は「現代の奴隷制(modern-day slavery)」や「刑務所奴隷制(prison slavery)」と呼ばれることが少なくありません。さらに、人種的な偏りのある司法運用と相まって、黒人をはじめとするマイノリティの受刑者に不均衡な影響を与えているとの指摘も多くあります。
例外撤廃に向けた動き
近年では、この例外条項を見直す動きが広がっています。コロラド州(2018年)を皮切りに、ユタ州、ネブラスカ州(2020年)、アラバマ州、テネシー州、バーモント州、オレゴン州(2022年)など、複数の州が住民投票を経て州憲法から強制労働の規定を排除しました。連邦レベルでも、修正第13条の例外部分を削除する法案が議会に提出されています。
奴隷制の「公式な」廃止から150年以上が経過した今もなお、その影は憲法の文言の中に残り続けているのです。