北米の歴史

なぜ1982年以降のペニー(1セント硬貨)には銅がほとんど含まれていないのか?

アメリカの1セント硬貨(ペニー)は、1982年を境に素材が大きく変わりました。それ以前のペニーは銅95%(残りは亜鉛や錫)で作られていましたが、1982年半ば以降に鋳造されたものは、銅めっきを施した亜鉛製(銅2.5%・亜鉛97.5%)へと変更されました。つまり、現在のペニーの中身はほとんどが亜鉛なのです。

変更の理由は「銅価格の高騰」

1970年代後半から80年代初頭にかけて、銅の市場価格が急騰しました。その結果、銅95%のペニーを1枚作るコストが、額面の1セントを上回ってしまうという異常事態が発生します。硬貨の鋳造コストが額面を超えるのは非効率であり、米国造幣局はこれを解消するため、安価な亜鉛を芯材とし、表面にのみ薄い銅のメッキを施す現在の構成へと切り替えました。この方法なら、従来の見た目や色合いを保ちながら、大幅なコスト削減が可能になったのです。

銅ペニーと亜鉛ペニーの見分け方

実は1982年には、旧来の銅製と新しい亜鉛製の両方が鋳造されているため、年式だけでは判別できません。最も確実な方法は重さの違いです。

  • 銅95%のペニー:約3.11グラム
  • 亜鉛芯+銅メッキのペニー:約2.5グラム

また、硬い床に落としたときの音にも違いがあります。銅製はやや高く澄んだ音がし、亜鉛製はやや鈍い音がすると言われています。ただし摩耗した古い硬貨では判断が難しい場合もあるため、正確に見分けたいときは重量計を使うのがおすすめです。

注意:ペニーを溶かして売ることは違法

銅価格が高騰すると、「古いペニーを大量に集めて溶かせば儲かるのでは」と考える人もいますが、米国では1セント硬貨および5セント硬貨を金属地金として融解・処理すること、また国外への輸出することが連邦法によって禁止されています。違反すれば罰則の対象となる可能性があるため、注意が必要です。

まとめ

1982年以降のペニーに銅がほとんど含まれていないのは、銅価格の高騰によって鋳造コストが額面を超えてしまったことが原因です。現在のペニーは銅2.5%・亜鉛97.5%で構成されており、表面の薄い銅メッキによって昔ながらの外観が保たれています。手元にある古いペニーがどちらのタイプか気になったら、まずは重さを比べてみてください。