北米の歴史

米国議会は奴隷解放宣言を発布したのか?その答えと歴史的背景

米国議会は奴隷解放宣言を発布したのか?

結論から言えば、答えは「ノー」です。奴隷解放宣言(Emancipation Proclamation)は、米国議会が発布したものではありません。

リンカーン大統領による行政命令

奴隷解放宣言を発布したのは、当時のアブラハム・リンカーン大統領です。彼は1863年1月1日、大統領の権限に基づく行政命令として、正式な奴隷解放宣言を発布しました。

実は、この宣言には「予備宣言」と呼ばれる前段階がありました。リンカーンは1862年9月22日に予備的な宣言を出し、反乱状態にある州に対して、翌年1月1日までに連邦への復帰を拒否すれば奴隷を解放すると通告しました。そして期限の日である1863年1月1日、正式な奴隷解放宣言が発布されたのです。

なぜ議会ではなく大統領だったのか

南北戦争中のリンカーンは、戦時大統領として持っていた戦争遂行権限を根拠に、反乱州の経済基盤を弱体化させる目的でこの措置を取りました。つまり、奴隷解放宣言は立法府である議会の法律ではなく、行政府の長である大統領の戦時措置だったのです。

その後の恒久的な奴隷制廃止

奴隷解放宣言はあくまで戦時の行政命令であり、その適用範囲も反乱州に限られていました。奴隷制を恒久的かつ全国的に廃止するには、憲法改正が必要でした。そこで議会は1865年に批准された合衆国憲法修正第13条を成立させ、ここで初めて米国全土における奴隷制の廃止が法的に確定したのです。