「約10億人が死亡した」という前提は正確ではない
「ほぼ10億人がアメリカ大陸に到達する前に亡くなった」という前提は、歴史的事実としては正しくありません。実際の数字はこれよりはるかに少ないものの、それでも甚大な悲劇であったことに変わりはありません。
歴史家による推計:約1,250万人が強制移送された
歴史家たちの研究によると、大西洋奴隷貿易(三角貿易)の中で、約1,250万人のアフリカ人奴隷が「中航路(ミドル・パッセージ)」と呼ばれる大西洋横断の航海で、アフリカからアメリカ大陸へと強制的に移送されました。
この過酷な航海の途中で命を落としたのは、移送された人々の推定10〜15%、すなわちおよそ125万〜190万人とされています。主な死因には以下のようなものがありました。
- 極めて劣悪な船内環境
- 栄養失調と脱水症状
- 感染症の蔓延
- 暴力や虐待
中航路(ミドル・パッセージ)とは
中航路とは、16世紀から19世紀にかけて行われた大西洋奴隷貿易において、アフリカからアメリカ大陸(新世界)へ至る第二の航路を指す名称です。ヨーロッパ・アフリカ・アメリカ大陸を結ぶ三角貿易の中間区間にあたることから、この名が付けられました。
奴隷たちは狭い船倉にぎっしりと詰め込まれ、数週間から数か月に及ぶ航海を強いられました。生きてたどり着いた者も、過酷な労働と差別に苦しむこととなりました。この歴史は、人権と自由の尊さを私たちに問いかける重要な教訓として、今日も語り継がれています。