ナショナリズム(民族主義)は、歴史の中で数多くの運動や革命の原動力となってきた思想です。では、ナショナリストたちは具体的に何を目指し、何を望んでいたのでしょうか。ここでは、彼らが掲げた主な目標を5つの観点から整理して解説します。
1. 独自の国民的アイデンティティの確立
ナショナリストの第一の願いは、同じ国や地域に暮らす他の集団とは異なる、独自の国民的アイデンティティを築くことでした。そのためには、固有の言語の整備、文化の育成、そして独自の政治体制の構築が必要とされました。共通の言葉と歴史認識を持つことで、「私たち」という一体感が生まれ、民族としての結束が強まったのです。
2. 民族自決権の実現
多くのナショナリストは、民族自決(セルフ・ディターミネーション)の権利を求めました。これは、自分たちの政治的な未来を自らの手で決定する権利を意味します。具体的には、帝国や大国の支配から脱し、独立国家を樹立すること、あるいは既存の国家の中で自治権を獲得することが目標とされました。20世紀初頭のヨーロッパやアジア、アフリカにおける独立運動の背景には、この思想が大きく作用しています。
3. 経済発展の促進
ナショナリズムは政治思想であるだけでなく、経済的な願望とも深く結びついていました。ナショナリストは、自民族の生活水準を向上させるために、工業化、土地改革、各種の経済改革を推進しようとしました。外国資本や支配層に依存しない自立した経済基盤を作ることが、民族の真の独立につながると考えられていたのです。
4. 社会正義の追求
より公正で平等な社会を築くことも、ナショナリストの重要な目標の一つでした。貧困、格差、差別といった社会問題の解決に取り組み、自民族すべての人々が尊厳を持って暮らせる社会の実現を目指しました。民族の解放は、階級や身分による抑圧からの解放でもあると捉えられていたのです。
5. 文化の復興
最後に、ナショナリストは自民族の文化の復興(カルチュラル・リヴァイヴァル)を強く望みました。伝統的な習慣、民衆の言葉、民俗芸術などを保存・再評価することで、長い間抑圧されてきた民族的誇りを取り戻そうとしたのです。民謡や神話の採集、民族語文学の創設などは、19世紀以降の多くの地域で文化復興運動として展開されました。
まとめ
このように、ナショナリストたちの願いは多岐にわたりますが、その根底には「自分たちの民族が、政治的にも経済的にも文化的にも自立した存在になること」という共通の想いがありました。国民的アイデンティティの確立、民族自決、経済発展、社会正義、文化復興――これら5つの目標は、互いに密接に関連し合いながら、近代世界の歴史を形作ってきたのです。