「エンジェル・オブ・ノース」という名前の建造物は実は存在しません。お探しのものは、イギリスを代表するパブリックアート「エンジェル・オブ・ザ・ノース(Angel of the North)」ではないでしょうか。本記事では、この巨大な天使像がなぜ、どのような目的で建てられたのかを詳しくご紹介します。
エンジェル・オブ・ザ・ノースとは
エンジェル・オブ・ザ・ノースは、イギリスの著名な彫刻家アントニー・ゴームリー(Antony Gormley)によって制作されたパブリックアートです。イングランド北東部、タイン・アンド・ウィア州ゲーツヘッドの丘の上に位置し、A1幹線道路を見下ろすように立っています。
高さ20メートル(約66フィート)、重さ200トンに及ぶ鋼鉄製の彫刻で、翼を広げた幅は54メートル(約177フィート)にもなります。ジャンボジェット機の翼幅に匹敵するそのスケールは、遠くからでも一目で確認できる圧倒的な存在感を放っています。
なぜ建てられたのか?その目的と意味
エンジェル・オブ・ザ・ノースは、イングランド北東部の歴史と文化を称えるために建設されました。かつて炭鉱や造船業で栄えたこの地域にとって、産業遺産への敬意とともに、未来への希望と再生のシンボルとしての役割も担っています。
作者のゴームリー自身は、この彫刻について「地下で働いた鉱山労働者たちへの追悼であり、産業からポスト産業時代への移行を象徴するもの」と語っています。また、天使の翼は航空機の翼を思わせるデザインになっており、伝統的な天使のイメージと現代性が融合した独特の造形が特徴です。
観光名所としての人気
現在、エンジェル・オブ・ザ・ノースは年間数十万人が訪れる人気の観光スポットとなっています。多くの映画やテレビ番組にも登場しており、イギリス北部を代表するランドマークとして国内外に広く認知されています。
建設の経緯と費用
この彫刻は1994年に委託され、1998年に完成しました。建設費用は80万ポンド。現在はタイン・アンド・ウィア博物館(Tyne & Wear Museums)によって管理・維持されています。
完成当初はその斬新なデザインをめぐって賛否両論がありましたが、今では地元住民だけでなく世界中の訪問者から愛される、北東イングランドの誇りあるシンボルへと成長しています。