「星条旗」はアメリカ合衆国の国歌です。もともとは、1814年に当時35歳の弁護士でありアマチュア詩人でもあったフランシス・スコット・キーが書いた詩でした。彼は1812年戦争中の「ボルチモアの戦い」において、チェサピーク湾でイギリス海軍の艦船がマクヘンリー要塞を激しく砲撃する光景を目撃し、その感動を詩に託したのです。
一つの詩から国歌へ
この詩は1814年、イギリスの作曲家ジョン・スタッフォード・スミスが作曲した旋律「天国のアナクレオンへ」に乗せて歌われるようになり、ボルチモアで出版されたことをきっかけに、瞬く間に愛国的な人気曲となりました。そして1931年3月3日、連邦議会の制定により、正式にアメリカ合衆国の国歌と定められました。
「星条旗」はアメリカの愛国心と国家の誇りの象徴です。愛国的な行事や式典で歌われるほか、スポーツイベントなどの公共の場でも演奏されます。また、アメリカ国旗の掲揚・降納の際に流される音楽としても知られています。
1812年戦争とはどんな戦争だったのか
1812年戦争は、1812年から1815年にかけてアメリカ合衆国とイギリスの間で戦われた紛争です。開戦の背景には、次のような複数の要因がありました。
- アメリカ人船員がイギリス海軍へ強制的に徴用されたこと(強制徴募)
- イギリスが、アメリカの西進に抵抗する先住民を支援していたこと
- イギリスによるアメリカとヨーロッパ間の貿易制限
ボルチモアの戦い――決定的な転換点
ボルチモアの戦いは、1812年戦争における重要な戦いの一つです。イギリス軍は都市を攻略し、アメリカに有利な講和を迫ろうとしてボルチモアを攻撃しました。しかし、この戦いはアメリカ側の決定的な勝利に終わり、イギリスによるアメリカ本土への侵攻の試みはここで事実上、幕を閉じることとなりました。
目撃した要塞の旗が夜明けにもなお掲げられていたことに感銘を受けたキーが書いたこの詩は、まさに1812年戦争におけるアメリカの勝利を今に伝える記念碑的な歌です。アメリカ人の愛国心と国家の誇りを称える「星条旗」は、200年以上の時を経た今日でも、多くの人々に歌い継がれています。