古代ローマの軍隊に加わった兵士たちは、一定の勤務期間を満了すると名誉ある除隊を迎えました。では、実際にどれくらいの期間、軍務に就いていたのでしょうか。本記事では、ローマ軍における標準的な勤務年数と、除隊後に受け取れた報酬について解説します。
軍団兵の標準的な勤務期間は「16年」
ローマ軍の中核を担った軍団兵(レギオナリウス)の場合、標準的な入隊期間は16年と定められていました。この期間を満了すると、兵士は正式に除隊となり、国家から報酬を受ける資格を得られました。
もっとも、兵役制度は時代とともに変遷しています。共和政ローマ期には戦時に召集される市民兵が中心でしたが、マリウスの軍制改革以降は職業軍人としての色彩が強まり、長期にわたる勤務が一般的になっていきました。
補助兵はより短い期間で除隊することも
一方、騎兵や弓兵といった補助兵(アウクシリア)については、軍団兵よりも短い勤務期間で除隊となるケースがありました。彼らはローマ市民権を持たない属州出身者が中心であり、勤務条件や受けられる恩恵の内容も、軍団兵とは異なる仕組みになっていました。
除隊後の待遇は「土地」または「金銭」
満期除隊を迎えた退役兵たちには、その報酬として土地の支給か金銭の支払いが行われました。土地を与えられた者は農業などを営みながら新たな生活を築き、金銭を選んだ者はその資金をもとに第二の人生をスタートさせました。
この制度は、退役兵の老後の生活を保障すると同時に、辺境地域の開発や植民を促進するという国家的な目的も兼ね備えていました。つまり古代ローマの兵役とは、単なる軍事義務ではなく、除隊後の人生まで視野に入れた一種のキャリア制度として機能していたのです。