迫害されたクエーカー教徒のための新天地
ウィリアム・ペンは、平和と宗教的寛容を重んじる宗教団体であるクエーカー教徒(正式には「友人会」)のための避難所として、北米にペンシルベニア植民地を創設しました。
17世紀のイングランドにおいて、クエーカー教徒はその信仰と実践のゆえに厳しい迫害を受けていました。国教会から異なる礼拝形式を認められず、投獄される者も少なくありませんでした。彼らは自由に信仰を捧げられる土地を強く求めていたのです。
国王の勅許状と「ペンの森」
ペン自身もクエーカー教徒であり、何度も投獄を経験しました。そこで彼はイングランド国王チャールズ2世から勅許状を取得し、1681年にペンシルベニア植民地を設立する権利を手に入れます。この植民地の名前は、彼の父である海軍提督サー・ウィリアム・ペンにちなんで付けられました。
クエーカーの価値観に基づく理想社会の構築
ペンの掲げたビジョンは、クエーカーの価値観――平和主義、良心の自由、すべての人への平等――に基づいた、平和で繁栄し、寛容な社会を築くことでした。彼は信教の自由を保障する統治枠組みを整え、先住民とも公正な条約を結ぶなど、当時としては極めて先進的な政策を実践しました。
さらにペンは、植民地の首都としてフィラデルフィアの街を建設しました。「兄弟愛の街」を意味するこの都市は、多様な宗派の人々を受け入れ、住民による自治を発展させ、やがて宗教的自由と自己統治の模範として、アメリカ建国の理念にも大きな影響を与えることになります。