第二次世界大戦中、アメリカ軍はネイティブ・アメリカン(アメリカ先住民)の力に大きく依存していました。その理由の鍵となったのが、彼らの文化的伝統、とりわけ独自の言語です。
枢軸国には決して破れない暗号
当時、無線通信は敵に傍受される危険性が常に伴い、暗号化された電文でも解読されるリスクがありました。しかし、ナバホ語をはじめとするネイティブ・アメリカンの言語は、部外者にとってほぼ習得不可能で、言語学者ですら存在をほとんど知らないものでした。このため米軍は、枢軸国側が決して解読できない暗号として活用できると確信したのです。
珊瑚海海戦が示した圧倒的な強さ
その有効性を如実に示す例があります。1942年の珊瑚海海戦では、日本軍はアメリカ軍の暗号電文を約7,000件も傍受しました。ところが、そのうち解読できたのはわずか1件を除くすべて——つまり、唯一解読できなかった電文こそが、ナバホ語で書かれたものだったのです。
こうしてネイティブ・アメリカンの通信兵たち、いわゆる「コードトーカー」は、太平洋戦線において極めて重要な役割を果たすことになりました。彼らの母語は、最新の暗号技術をも凌ぐ「生きた暗号」として、戦争の行方に大きな影響を与えたのです。