結論から言えば、連合規約(Articles of Confederation)の下では、現在のようなアメリカ合衆国大統領は存在しませんでした。大統領という職位が創設されたのは、1789年にアメリカ合衆国憲法が批准されてからのことです。
連合規約とは何か
連合規約は、アメリカ合衆国最初の成文憲法であり、1781年に批准されました。独立戦争中の13の州を一つの国家として結びつける枠組みとして機能しましたが、その基本理念は「強力な中央政府を作らないこと」にありました。
このため、連合規約の下では中央政府の権限は極めて弱く、課税権や通商規制権すら持たず、実質的な権力の大部分は各州が握っていました。
連合議会による統治
連合規約の下では、アメリカ合衆国は各州から選出された代表者で構成される「連合議会(Congress)」によって統治されていました。行政府や司法府に相当する組織は存在せず、国家の運営はすべてこの議会に委ねられていました。
なお、議会には議事を取り仕切る「議長(President of the United States in Congress Assembled)」という役職がありましたが、これはあくまで議会の進行役にすぎず、現代の大統領のような国家元首や行政の長ではありませんでした。ジョン・ハンソンなどがこの議長を務めたことで知られています。
大統領職の誕生
連合規約の弱点が顕在化するにつれ、より強力な中央政府を求める声が高まり、1787年の制憲会議を経て新しい憲法が起草されました。そして1789年、アメリカ合衆国憲法の批准により、初めて大統領という職位が正式に創設され、ジョージ・ワシントンが初代大統領に就任しました。