「オーストラリア軍は1950年代に刑務所から徴兵や募集を行っていたのか?」という疑問は、ネット上でしばしば話題になります。結論から言えば、1950年代のオーストラリア軍が刑務所の受刑者を組織的に募集していたことを裏付ける確かな公式記録は確認されていません。
戦時中には前科者が入隊できた事例は存在する
ただし、オーストラリアの歴史において、犯罪歴のある人物が軍隊に入隊した例がまったくないわけではありません。第一次世界大戦や第二次世界大戦のような国家存亡に関わる時期には、人員不足を補うため、軽微な前科を持つ者や一部の受刑者が志願・入隊を許可されたケースが記録されています。しかしこれはあくまで戦時下の例外的な措置であり、「刑務所からの恒常的な募集制度」ではありませんでした。
「recidivism(再犯)」は募集制度の名称ではない
一部の情報源では、こうした慣行が「recidivism(リシディヴィズム)」と呼ばれていたと説明されることがあります。しかし、これは誤りです。「recidivism(再犯)」とは、一度刑罰を受けた人が再び犯罪に手を染める現象を指す犯罪学用語であり、軍の募集プログラムの名称ではありません。この用語の混同が、誤情報が広まる一因となっていると考えられます。
1950年代のオーストラリアの兵役制度とは
1950年代のオーストラリアでは、朝鮮戦争への対応などを背景に、1951年から1959年にかけてナショナル・サービス(選抜徴兵制度)が実施されていました。しかし、その対象は主に18歳前後の若い男性に対する抽選による召集であり、受刑者を対象としたものではありません。
まとめ
「1958年に廃止された」といった具体的な主張を含め、1950年代のオーストラリア軍による刑務所からの募集に関する逸話は、信頼できる一次資料によって裏付けられていないのが実情です。戦時中の例外的な入隊許可の事例と混同され、誇張されて広まった可能性が高いと言えるでしょう。