オセアニアの歴史

1シリング硬貨を使っていた国はどこ?旧イギリス圏の通貨史を解説

「シリング」は、かつてイギリスを中心に広く使われていた通貨単位です。1ポンド=20シリング、1シリング=12ペンスという体系のもと、イギリス本国だけでなく、旧イギリス帝国・英連邦の多くの国や地域で1シリング硬貨が発行・流通していました。この記事では、シリング硬貨が使われていた主な国と地域を地域別に整理して紹介します。

シリングとはどのような通貨か

シリングは中世イングランドに起源を持つ古い通貨単位で、長らくイギリスの通貨体系の中核を担ってきました。硬貨としては銀貨が主流でしたが、1920年以降は銀の含有率が引き下げられ、1947年以降は銅ニッケル貨へと変更されました。イギリスでは親しみを込めて「ボブ」と呼ばれ、庶民の生活に深く根ざした硬貨でした。

イギリス本国とアイルランド

イギリスでは1971年の十進法化まで1シリング硬貨が日常的に流通し、その後は5ペンス硬貨が実質的な後継となりました。隣国アイルランドも馬の図柄が特徴的な独自のシリング硬貨を発行しており、同じく1971年まで使用されました。

オセアニアと南アフリカ

オーストラリアでは1966年、ニュージーランドでは1967年に十進法通貨(それぞれオーストラリアドル、ニュージーランドドル)へ移行するまで、シリング建てのポンド通貨が使われていました。南アフリカでも1961年の共和制移行と通貨改革(ランドの導入)までシリングが流通しました。

アフリカ各地

アフリカでは、特に東アフリカを中心にシリングが広く普及しました。

  • 東アフリカ:ケニア、ウガンダ、タンガニーカ、ザンジバル(現タンザニア)、英領ソマリランド、英領東アフリカ保護領など
  • 中央アフリカ:ローデシア・ニヤサランド連邦を構成した南ローデシア(現ジンバブエ)、北ローデシア(現ザンビア)、ニヤサランド(現マラウイ)
  • インド洋:モーリシャス、セーシェル

これらの地域では独立後もシリングを名乗る通貨が引き続き使われた例が多く、ケニア、ウガンダ、タンザニアでは現在もシリングが法定通貨として残っています。

カリブ海・大西洋・地中海の地域

  • カリブ海:ジャマイカ、バハマ、バミューダ、イギリス領ホンジュラス(現ベリーズ)、ケイマン諸島、タークス・カイコス諸島
  • 大西洋:フォークランド諸島、サウスジョージア・サウスサンドウィッチ諸島、セントヘレナ、アセンション島、トリスタンダクーニャ
  • 地中海:ジブラルタル、マルタ、キプロス

中東の委任統治領

第一次世界大戦後、イギリスの委任統治下に置かれたパレスチナとトランスヨルダン(現ヨルダン)では、ポンド=シリング体系に基づく通貨が導入されました。また、アデン(現イエメン南部)など紅海沿岸のイギリス支配地域でもシリング系の通貨が流通しました。

十進法化とシリングの終焉

20世紀半ばになると、各国は計算が容易な十進法通貨への移行を進めました。南アフリカ(1961年)、オーストラリア(1966年)、ニュージーランド(1967年)、そしてイギリスとアイルランド(ともに1971年)が相次いで切り替えを行い、1シリング硬貨は歴史の舞台から退いていきました。一方、東アフリカ諸国では現在も「シリング」の名称を受け継ぐ通貨が使われ続けています。

まとめ

1シリング硬貨は、イギリスとアイルランドをはじめ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、東アフリカ諸国、カリブ海や地中海のイギリス領など、旧イギリス帝国圏の非常に広い範囲で使用されていました。現在ではコレクターの間で人気が高く、発行年代や保存状態によっては高い価値が付くこともあります。手元に古いシリング硬貨がある場合は、一度その歴史を調べてみると新たな発見があるかもしれません。