ハーグの国際司法裁判所(ICJ)による判決が下されるのは1月27日。ペルーがチリとの海上境界線の確定を求めて提起した訴訟の判決まで、あとわずかとなった。ここ数日の両国当局者の姿勢を見ると、ペルーにとって有利な判断となる公算が大きそうだが、現時点でその程度を断定することはできない。
ペルー海洋法研究所のミゲル・アンヘル・ロドリゲス所長は、「コンコルディア地点」から画定が行われるという前提に立ち、法的推論に基づく複数のシナリオを検討してきた。以下がその選択肢である。

1. 完全にペルー有利となる判決
裁判所がペルーの主張を受け入れ、「コンコルディア地点」から中間線(等距離線)を引くケース。この場合、係争海域の三角形約3万8,554平方キロメートルの全域がペルーに帰属し、さらに約2万8,000平方キロメートルの外側三角形についても、ペルーへの権原が認められる。
ただしロドリゲス氏は「裁判所がこの判断を下す可能性は低い。ペルーの請求の100%を認めることになり、係争三角形に加えて外側三角形の権原承認まで与えることになるからだ」と指摘する。

2. チリ側に12海里の平行線を認める判決
裁判所が「コンコルディア地点」を起点に、ペルー・チリ・エクアドル間で署名された1952年の海洋地域宣言に基づき、12海里の平行線を引くケース。
当該合意は島嶼の存在を条件に平行線の適用に言及しており、これはペルーとエクアドルの間で生じている状況だが、ロドリゲス氏によれば、1954年協定も12海里から特別区域を設定して平行線を引くことを定めているため、裁判所はこの解決策を採用しうるという。さらに、平行線の概念は複数の議事録にも盛り込まれており、これがチリへの平行線概念の承認に傾く要因になり得るとされる。
「裁判所がこのテーゼを受け入れれば、チリには12海里の平行線を与え、直ちにペルーが求める中間線(等距離線)を引くことになる。平行線が存在したという法的性質を認めてチリを尊重しつつ、ペルーが主張する衡平の概念にも根拠を与える、両者を組み合わせた解決だ」

3. ペルーに最初の12海里の等距離を認める判決
ロドリゲス氏は、裁判所がこの判断を採用する可能性は高いとみている。「裁判所はその行動のすべてにおいて、創造的な行為を国際法の源泉としている。裁判所は当事者の請求に基づいて解決策を創り出すのだ」。同氏の説明によれば、裁判所は「コンコルディア地点」からの衡平の概念を考慮し、最初の12海里については中間線(等距離線)を引き、その後は自国行為(own acts)の法理――平行線の概念がペルーのさまざまな法令に存在するため、双方とも無視できないとする法律用語――に基づいて平行線を引くことができるという。
「これはペルーにとって準勝利といえる。中間線は得られるものの、チリは自国の海岸沿いと係争海域の最大の割合を保持することになる」

4. 完全にチリの主張どおりとなる判決
敗北のシナリオ。裁判所がチリの主張する自国行為の理論を全面的に容認し、1952年宣言と1954年協定が確かに海上境界線を定めていると解釈すれば、現状はそのまま維持される。この場合でも、ペルーが所有権の承認ではなく権原の承認を求めていた外側三角形については、ペルーへの権原が認められるとロドリゲス氏は説明する。
このほかにも、裁判所が採用しうる可能性はあるものの、判決に反映される可能性は相対的に小さい選択肢が3つ存在する。
5. 折衷案の判決
裁判所が両国の主張を組み合わせるケース。「コンコルディア地点」から12海里の平行線を適用した後、1954年協定第1条(12海里から特別区域を設定し、平行線の両側それぞれ10海里)に基づき、まずチリ、次にペルーに対して10海里の相互進入特別区域を設定する。
「この場合、現状維持となり、間違いなくチリの勝利だ。こちらは何も得られないからだ。ただし、裁判所がこのような判断を下す可能性は極めて低い」とロドリゲス氏は語る。
同じ折衷案のもう一つの可能性として、最初の10海里の進入区域をペルーに与える場合も考えられる。

6. 折衷案+等距離中間線の判決
裁判所が1952年宣言と1954年協定を考慮し、同様に12海里と各国10海里の相互進入区域を設定した上で、さらに中間線を引くケース。この場合、ペルーが獲得できるのは係争海域のごく一部にとどまる。

判決前夜、緊張高まる両国
ハーグでの判決まで数日となった今、両国の政治的緊張は高まっている。チリ側は、判決の結果いかんにかかわらず「段階的な執行」が行われるとしている。セバスティアン・ピニェラ・チリ大統領の発言からは、判決が自国に不利なものであれば、その執行を遅らせたい意向もうかがえる。
その後の展開(編集部注)
なお、実際に2014年1月27日に下された判決では、裁判所は「コンコルディア地点」から約80海里(約148キロ)にわたり平行線に沿って境界線を引き、そこから南西方向へ等距離線へ移行するとの判断を示した。これによりペルーは約2万1,000平方キロメートルの新たな海洋区域を獲得した一方、チリ沿岸の豊かな漁場の大部分はチリ側に残った。両国とも判決を受け入れ、その後の境界画定作業は比較的円滑に進められた。