クスコ——インカにとっての「世界の中心」
クスコは、インカの人々にとって世界の中心とされる神聖な都市でした。そのため、16世紀にやって来たスペイン人は、この壮麗な首都の上に新たな街を築き上げたのです。インカ時代の石垣の上に植民地様式の建物が立ち並ぶ、他に類を見ない街並みが今も残されています。
伝説とともに歩んだ都市の起源
クスコの起源は、インカ帝国の創世伝説と深く結びついています。現在のクスコがある一帯は、インカが到来する何世紀も前から人が住んでいましたが、この地域が真の繁栄を極めたのは、インカの統治下においてでした。
都市の支配が始まった当初、クスコはハナン(Hanan=上部)とウリン(Hurin=下部)という二つの地区に分けられていました。この上下二分割の構造は、宗教的・政治的な意味を持つ独特の都市区分でした。
パチャクテックによる大改造
帝国の都としてのクスコを設計した偉大な人物こそ、第9代サパ・インカ(皇帝)のパチャクテックです。彼の治世にインカ帝国は大きく領土を広げ、クスコも帝都にふさわしい姿へと生まれ変わりました。
目標を達成するため、パチャクテックは旧クスコからの立ち退きを命じ、都市の新しい区画図を作成し、そこに住むにふさわしいと考えた人々へ家屋や土地を分配しました。
水路整備から始まった再建事業
都市の再建は、川や小川の水路化(暗渠化)から着手されました。これにより洪水を防ぐと同時に、市内への安定した水の供給を保証することにも成功したのです。さらに皇帝は、労働力として帝国各地の民衆を動員し、大規模な建設工事を推進しました。
まとめ
クスコは単なる首都ではなく、インカの宇宙観そのものを体現した都市でした。パチャクテックの周到な都市計画と先進的な土木技術によって築かれたこの古都は、現在ペルーの観光拠点として世界中の旅行者を惹きつけ、歴史的街区はユネスコの世界遺産にも登録されています。