「ウェットバック」とはどんな言葉か
かつて、アメリカ合衆国へ不法に入国したメキシコ人移民を指して使われていた言葉が「ウェットバック(wetback)」です。この言葉には侮蔑的なニュアンスが含まれる差別用語であり、今日の社会では決して好意的に受け取られるものではありません。
言葉の由来となった歴史
「ウェットバック」という呼称が使われ始めたのは、1900年代前半のことです。当時、多くのメキシコ人たちがリオグランデ川を越えてアメリカ合衆国へと移住するようになりました。
「ウェットバック(濡れた背中)」という名前の由来は、こうした移住者たちの渡河方法にあります。彼らの多くは船を使わず、川を泳いで渡るか、水の中を歩いて渡りました。そのため、対岸にたどり着いたときの背中が濡れていたことが、この独特な呼び名の起源になったとされています。
現在におけるこの言葉の扱い
この言葉は、1950年代に実施された大規模な強制送還作戦でメディアにも広く登場しましたが、移民たちを非人間的に扱う表現であるとして強い批判を受けてきました。
現在では、不法入国者を指す際にもこの言葉を使用することは避けられ、「書類を持たない移民(unauthorized immigrants)」など、より中立的な表現が用いられるのが一般的です。言葉の背景にある歴史を知ることは、移民問題への理解を深めるうえで重要といえるでしょう。