第二次世界大戦期に親しまれた音楽
1939年から1945年の第二次世界大戦中、音楽は前線の兵士にとっても、故郷で待つ家族にとっても、心の支えとなるかけがえのない存在でした。当時はラジオが最も身近な娯楽メディアであり、レコードやジュークボックスも広く普及していました。また、兵士の慰問のために特別に制作された「Vディスク」や、USO(米国慰問協会)による前線公演などを通じて、音楽は戦場と本土をつなぐ役割を果たしました。
ここでは、戦時中に特に人気を集めた主な音楽ジャンルをご紹介します。
スウィング&ビッグバンド
戦時中のアメリカを代表するサウンドといえば、何といってもスウィングです。グレン・ミラーの「イン・ザ・ムード」や「チャタヌガ・チュー・チュー」、ベニー・グッドマン、デューク・エリントンといったビッグバンドの楽曲は、ダンスホールを賑わし、厳しい時代の人々に活力と希望を与えました。
ジャズ
ルイ・アームストロングやエラ・フィッツジェラルド、カウント・ベイシーらが活躍した時代であり、ジャズはアメリカ発の音楽文化として国内外へ大きく広がりました。即興演奏の妙技は、多くのリスナーを魅了し続けました。
クルーナーソング
マイクロフォンの性能向上によって生まれた、ささやくような柔らかい歌唱スタイルです。ビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」(1942年)は空前のヒットとなり、若き日のフランク・シノトラもこの時期にスターへの道を歩み始めました。
トラディショナル・ポップ
ビッグバンドのサウンドとボーカルを融合させた、当時の主流ポピュラー音楽です。メロディアスで親しみやすい楽曲が多く、ラジオ番組を通じて幅広い層に愛されました。
カントリー&ウエスタン
アメリカ南部や西部出身の兵士たちにとって、故郷を思い起こさせる懐かしい音楽でした。戦争を機に地方の音楽だったカントリーが全米規模で認知されるようになったとも言われています。
ショーチューン(ミュージカルナンバー)
ブロードウェイの舞台やハリウッド・ミュージカル映画の楽曲も大人気でした。1943年初演のミュージカル「オクラホマ!」は大ヒットを記録し、劇中歌が家庭で口ずさまれるほど浸透していました。
クラシック音楽
教養ある層やコンサート通いの愛好家の間では、クラシック音楽も変わらず親しまれていました。ラジオでも交響曲やオペラが定期的に放送され、戦時下において芸術の持つ安らぎの価値が見直されました。
フォークソング
ウディ・ガスリーの「ディス・ランド・イズ・ユア・ランド」(1940年)に代表されるフォークソングは、庶民の生活や社会への思いを歌う音楽として、静かなブームを形成していました。
ハワイアンミュージック
スチールギターの音色が特徴的なハワイアン音楽は、南の島への憧れを呼び起こす癒しの音楽として人気がありました。太平洋を舞台とした戦争の中で、特別な意味を持って聴かれたジャンルです。
ラテンアメリカ音楽
カーマン・ミランダの活躍などにより、ラテン音楽への関心が高まった時代でもあります。アリ・バローゾの「ブラジル」などのリズム感あふれる楽曲がヒットし、陽気なサウンドが暗い世相を吹き飛ばしました。
まとめ
第二次世界大戦中の音楽シーンは、スウィングやジャズを中心としながらも、実に多彩なジャンルが共存していました。これらの楽曲は、過酷な時代を生きる人々に勇気と安らぎを与えるだけでなく、現代のポピュラー音楽の礎をも築いたのです。