南アメリカの歴史

アッパーサウスとディープサウスで栽培されていた主な作物の違いを解説

アメリカ南部は、歴史的に気候や土壌の違いによって、地域ごとに異なる作物が栽培されてきました。大きく「アッパーサウス(Upper South)」と「ディープサウス(Deep South)」に分けると、それぞれの農業の特徴が明確になります。本記事では、両地域で栽培されていた主要な作物について詳しく解説します。

アッパーサウスで栽培された作物

アッパーサウスは、ケンタッキー州、テネシー州、バージニア州など、南部の中でも比較的北側に位置する地域です。気候が穏やかで四季があり、多様な作物の栽培に適していました。主な作物は以下の通りです。

  • タバコ(葉タバコ) – アッパーサウスを代表する換金作物で、特にケンタッキー州やバージニア州で大規模に生産されました。
  • トウモロコシ – 食料および家畜の飼料として広く栽培された基幹作物です。
  • 小麦 – パン用の穀物として重要な位置を占めました。
  • エンバク(オート麦) – 主に馬などの役畜の飼料として利用されました。
  • ライ麦 – 寒さに強く、小麦との輪作やパン・ウィスキーの原料として栽培されました。
  • 大麦 – 醸造用や飼料用として生産されました。
  • ソバ(蕎麦) – 痩せた土地でも育つことから、補助的な穀物として重宝されました。
  • 綿花(一部地域) – アッパーサウスの一部では綿花も栽培されましたが、ディープサウスほどの主要作物ではありませんでした。

ディープサウスで栽培された作物

ディープサウスは、ジョージア州、アラバマ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州など、南部の最も深い(南側の)地域を指します。高温多湿な気候と長い生育期間に恵まれ、プランテーション農業の中心地となりました。主な作物は以下の通りです。

  • 綿花 – ディープサウス最大の換金作物であり、「キング・コットン」と呼ばれるほど南部経済を支えました。
  • 稲(ライス) – 湿地帯に適した作物で、サウスカロライナ州やルイジアナ州などで大規模に栽培されました。
  • サトウキビ – ルイジアナ州を中心とした温暖な地域で砂糖の原料として生産されました。
  • タバコ – 一部の地域ではタバコも重要な収入源となりました。
  • トウモロコシ – 自給用および飼料用として各農園で広く栽培されました。
  • 小麦・エンバク・ライ麦・大麦・ソバ – ディープサウスでも栽培されましたが、気候の関係でアッパーサウスほどの主力作物ではありませんでした。

両地域の農業の違いまとめ

アッパーサウスは多様な穀物とタバコを中心とした混合農業が特徴的だった一方、ディープサウスは綿花・稲・サトウキビといった高温多湿向きの換金作物に特化したプランテーション経済が発達しました。この作物の違いは、気候条件だけでなく、奴隷労働に依存した大規模農園の分布や、南北戦争前後の南部社会の構造にも深く関わっていました。